(石矢魔高校) ばんっと下駄箱から靴を地面へ投げ落とす あーくそ、なんだってんだ イラついてる理由? 朝からずーっと同校他校から喧嘩売られて、今の時刻を見ろ もう17時過ぎ つまり下校時間をとっくに過ぎている 何が嬉しくて学校にいなきゃいけないんだ まあずっと喧嘩して…楽しくなかったわけではないのは本音だが 「さすがに疲れるよな、ベル坊…」 「…すー」 「寝てやがる…」 背中のベル坊はつかれてか寝てしまった 古市も先に帰るとか言って帰りやがるし… なんかぼっちみたいじゃねーか つまんねーと校門まで歩くと何やら見覚えのある影 金髪のお団子、みつあみ、ゴスロリ服に傘… それだけ特徴があれば誰なのかは明白だ どこにそんな体力があったのか、ゆっくりしてた足取りは速くなっていた 「…ヒルダ」 「遅いぞ馬鹿者」 緑の瞳が俺をとらえる 「つか、なんで…」 「…偶然たまたま買い物帰りに寄っただけだ。古市がお前ならまだ残ってると知らせてくれてな。坊ちゃまを待っていたのだ」 「あっそ」 最後に変な勘違いをするなよ、と指摘をされる っつっても…ねえ… 買い物帰りにってお前、買い物袋はどうしたよ 「坊ちゃま」を不思議なくらい強調されるとなあ… 「ヒルダ」 ベル坊を我が腕の中に納め、自分の一歩前を歩くヒルダがなんだ、と振り返る 「ありがとな」 「だから貴様を待ってたわけでは…」 「ベル坊を背中からどかしてくれて。重かったんだよな…。」 「!」 してやられたという顔をしているヒルダをじっと見るとばしっと殴られた 「いってエェ…」 「くたばれ」 ヒルダはそう言い捨てて俺から顔を背けた 耳まで少し赤く染めてるから照れてるのはバレバレだがあえて突っ込まないことにした ← |