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「彼女!お茶しない?」
「…」


散歩がてら外に出歩いてみれば早速コレだ
声をかけてきた男ども3人は囲むようにして迫ってくる


「ねえ?聞いてる?」
「…どけ。そういうのは間に合っている」
「気が強い女…」
「いーじゃん。お茶するだけ!」


男どもは笑いながら私の腕を掴みだした
舐めるように私を見ては気持ち悪い笑い方をする


「離せ、下衆が」


そう一言放つと男どもは笑いを止める

どうやら怒らせたようだ

まあ、喧嘩とやらの方がやりやすい
返り討ちにしてやろうと不敵に笑ってやる


「何だァ?男3人に勝てると思ってんの?」
「もちろんだ」
「ふーん?やってやろーじゃん」


3人とも喧嘩をする体勢に入る


「女殴るのは趣味じゃねーけどね…気絶したらしっかり味わっちゃうからね〜」
「させるかよ」





…空耳?

ここに居ないはずの奴の声が聞こえたと思えば1人の男が倒れだした


「「!?」」
「…なんだ。貴様か」



倒れた男の後ろにはデーモンよろしく男鹿が右拳を構えて立っていた


「…!お、男鹿辰巳!」


しっかり背中にいる坊ちゃまを確認した二人は男鹿辰巳だと確信しだした
男鹿はニッと笑って男二人に近づく


「男鹿辰巳…てことはこの女は…」
「オガヨメ!?」


二人は顔を青ざめて倒れている1人の男を担いで「すっすいませんでしたアアァ!」と走り去っていった

なんとも呆気ない終わり方だ。奴等にプライドはないのか…



「…何やってんだよテメーは」
「所謂ナンパをされていた」
「…。」
「だふっ」
「さあ坊ちゃま。こちらへ」
「だあ!」


無言の男鹿をスルーして背中にいた坊ちゃまを腕の中におさめる


「ったく…あいつらぐらいすぐに倒せただろ?」
「倒そうとしていたところにお前が来たのだ」



別に怯えるどころか返り討ちを考えていたのだぞ、と付け足すと「あ、そ」とそっけなく返された


「とは言え、お前のお陰で助かった。礼を言うぞ」
「…おう」
「にしても…オガヨメが定着したものだ…」
「嫌か?」


まさかそんなことを聞かれると思わずぱちくりと瞬きをした


「嫌…では無いぞ?このほうが過ごしやすいし校内では一目置かれて何ともいい気分だ」


少し笑顔を見せてやると男鹿の顔が少し赤くなった
おもしろい…


「それにお前の嫁だから尚更な」
「そうかい……

!?それはどういう…」
「お?今喜んだか」
「!てめっ」



どうやら怒らせてしまったようで、その後は顔を背けられてしまった
拗ねたように怒った男鹿はそれでも隣を歩いていた

全く…しょうがない奴だ


腕を伸ばして男鹿の頬をつねる

「いたたたたっ!何しやがる!?」
「さっきのはお前が考えた通りの意味だ、察しろ…バカが」


そう一言残してなんだか照れ臭くなって男鹿の前を足早に歩いた


男鹿はつねられた頬をさすりながらしばらく固まっていた












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