「それで、オレのとこに来たと」

 カチャカチャと指を動かしながら私はミルキの部屋にお世話になっている。先程起きた出来事を話すためだ。

「三歳相手に大人気ないぞ」

 呆れ混じりのため息と一緒に吐かれた言葉に「返す言葉もございません」と言うしかなかった。

 結果から言うと、私はキルアとの鬼ごっこに負けた。
 小回りが利くキルアと比べて私はもう十分大人に近い身体をしている。広くて、隠れる場所が多いこの家では、圧倒的に不利だった。私がいくら念を鍛えているからと言って、不用意に使ってキルアの念を開化させたら、それこそイルミの二の舞だ。冗談じゃない。
 結局諦めて、チョコロボ君だけ献上してからミルキの部屋に来たのだ。

「真面目にやばい。ミルキの言う通り三歳相手に大人気なかった。後でなんか言われるかなぁ」
「イル兄ならイヤミは言いそうだよな」

 バリバリとポテチを食べながら笑うミルキに冗談じゃないと睨むと「あのイル兄だぜ?」そう言ってさっき私がやったように肩をすくめていた。
 そう、実はイルミは両親よりもキルアにお熱なのだ。それもきっと、私がミルキを甘やかす以上に。

「でもね! 私の言い分も聞いて欲しいの。キルア、三歳の癖に生意気を極めてたのっ」
「そうか? オレには大人しいけどな」
「しばらくしたら気付くよ……。今日は撒かれちゃったから完全に舐められた……」
「チビのくせに天才天才褒められてりゃ天狗にもなるってもんじゃねーの」
「そうかも知んないね。イルミにもなんか吹き込まれたみたいだし、それで拍車がかかったのかも」
「あー……」

 なにか思いあたる節があるのか、ミルキは苦々しく笑った。

「え、なに。やっぱりなんかあったの?」
「いや、何でもない。いつかイル兄も話すだろ」

 ミルキが急に真面目な顔で言ったので私は「なにそれ」と笑った。

「イル兄も相変わらずだなってこと」
「ふーん」
「あ、ジルキ姉。画面見ないと死ぬよ」
「うそ!」

 完全に会話に全て持ってかれていた私は、手元にあるゲーム画面に集中していなかった。虚しいかな、game overの文字が画面に広がっていた。

「ごめんね、いい所まで進めてたのに……」

 私がガックシと肩を落とすと、ミルキは「しょうがねぇなぁ」と頭をかいた。

「もっかいやろうぜ」

 そう言ってコンティニューボタンを押していた。

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