08 「ここ」は、君の家なんだ

 ナポリで仕事をすることの多い組員たちの中には、いつどこで聞いたのか、このコンドミニオに「組の名を騙っていた男を始末した少女がいる」ということを知って、一度顔を見てみたいと言ってここを訪れる者もいた。
 しかしいざリリアナと顔を合わせてみると、彼女があまりにも「普通の」少女だということに驚いて、どこで生まれたのか、親はどうしているのか、パッショーネに来る前はどんなことをしていたのか、などとリリアナの経緯をあれこれと尋ねた。でもリリアナは年上の、いかつい顔と身体をした男たちに囲まれると息が詰まる思いになるので、ほとんど何も答えられなかった。そんなふうだから、組の男たちはたいがいリリアナへの興味を失って早々にその場を後にして下の階で飲み始めるか、それかときどき「頑張ってな」と言ってリリアナに小銭を握らせる者もいた。リリアナはその小銭を自室のチェストの奥に、まだ1枚しかない風呂用のタオルに包んで仕舞った。
 チェストの上には、先日スクアーロが自身のスタンド「クラッシュ」を見せてくれたときのボトルが置いてある。リリアナは、朝目覚めるとこのボトルの水を入れ替えて、夜寝る前にはずっと自分のスタンドが現れないかと思ってボトルを見つめる。そうしているうちに眠くなるので、まだカーテンのない部屋の窓から夜の景色を眺めながら、眠りにつく。

 スクアーロとティッツァーノは、仕事中以外の時間をリリアナとこのコンドミニオで過ごすようになった。料理に買い物、洗濯や掃除、それに、傷の手当。スクアーロとティッツァーノはこれらのことをリリアナと一緒にやりながら、徐々に教えていった。
 空いた時間にはリリアナのスタンド能力を開発するためにスタンドのイメージを絵に描いたり、柔軟体操や筋力トレーニングをしてエネルギーが身体を巡っている感覚を掴もうとしたり、はたまたアジアのどこかの国でいまも行われているという精神統一の方法を試してみたりした。
 しかしスクアーロもティッツァーノも、体系的で効率的なスタンド能力の開発の方法を知っているわけではなかった――というよりも、この世界のどこにも、どのような訓練を重ねればスタンドの能力を伸ばせるのかを知っている者はいない。スタンド能力者は数も少なければ、己の能力について積極的に語ろうとする者もいないからだ。
 スクアーロは「こう、ぶぁーっと力を溜めるんだ」「それで一気にばーっと解放する」などと曖昧で雑な教えかたしかできなかったし、一方でティッツァーノに「精神的なエネルギーを心に満たすんだ」と多くの言葉で説明されても、リリアナにはその感覚が全然掴めなかった。
 リリアナは自分のスタンドがどのような姿をしているのかを知らないけれど、ひとまずはあの夜に自分の命を救ってくれた天使の姿を思い浮かべ、どうかもう一度現れてほしいと強く願って目をぎゅうっと瞑る。けれど、何も起こらない。それを何回か繰り返すとリリアナには、このままスタンドが使えないままだったらどうしよう、というかそもそも自分にスタンドが宿っているというのは本当なのだろうかという不安がやってきて、目の縁に涙が溜まってくる。それを見るとティッツァーノは今日の練習はお終いにしようと提案し、スクアーロはリリアナの頭をがしがしと撫でて、頑張ったな、と言うのだった。

 リリアナは、期待されたことができなくても怒らない大人がいるのだという事実に、少しずつ慣れてきていた。サントーロに使われていたころは期待通りに仕事ができなければ叱られたし、母と暮らしていたころでさえ、リリアナは母に失望されたくない、母の言うことをちゃんとこなさなければならないと思って、心をすり減らしていた。
 けれどスクアーロもティッツァーノも、リリアナが料理の仕方を知らなくたって、洗濯で汚れが残ったって、掃除が完璧ではなくたって、リリアナを叱ったりしない。彼らはただ、これはこうやるんだと言って手本を示してくれる。リリアナはそのような人との関わりかたに馴染みがなかったから、最初はどうしてこの人たちは怒らないのだろう、どうして自分ができなくても何度だって言葉で教えてくれるのだろうと考えていたし、いつこのような態度が変わってしまうのだろうと不安にも思った。でもこの数日間で、だんだんと、彼らにとってはこれが「普通」なのだとわかってきた。わかってきたし、リリアナにとってこのような「普通」は、何よりも安心するものだった。
 それにリリアナは、ここに自分の部屋や自分のベッドがあることが嬉しかった。大部屋で何人かの少年たちと寝泊まりをしていたころと違って、例えば夜にトイレに起きるときも気を遣わなくていいし、着替えるときも人目を気にしなくていい。朝は自分が目覚めたときを起きたときとすることができるし、夜は自分が寝たいときを寝る時間とすることができる。
 それだけではない、朝起きてきたらティッツァーノが朝食を作ってくれていて、その良い香りでお腹が空いていることに気がつくあの瞬間が、リリアナはたまらなく嬉しかった。もうすぐ朝食が出来上がるからシャワーを浴びておいでと言われてそうすると、そのあと濡れた髪をスクアーロががしがしと拭いてくれることも、嬉しかった。
 
 いままで、陽の入りづらいあの路地で、死んだように生きていた日々はまだそう遠くはない。なのにいまやリリアナは、眩しい陽射しで目覚める朝も、陽が足元を温める午後も、少しかさかさした寝具に包まれて眠る夜でさえ、いま自分が生きていることを感じられた。
 いつかパッショーネという組織のために働く日々が待っていて、きっとそれは優しさとは程遠いものだろうけれど、それでもリリアナは、パッショーネに拾われて、いま生きていると思える。それだけで良かった。

 その夜もリリアナは、スクアーロが最初に見せてくれたスタンドの姿を思い浮かべながら、チェストの上のたっぷり水の入ったボトルを眺めた。少しボトルを小突いてみると、一瞬ぐらりと揺れて、また戻る。相変わらず何も変化はないが、リリアナはまだそれでいいと思った。
 ベッドに横たわると窓から見える夜のキアイアノは静かに眠っていて、自分が息をする音だけが聞こえた。リリアナは、そのまままぶたを下ろした。

***

――おらッ、このクソガキ! 謝れっつってんだろうがッ!

 怒り狂った男はそう声を荒げながら、お腹をめがけて何度も蹴りを入れてくる。男の蹴りは鋭く抉るような強さで、蹴られる衝撃がくるたびに、わたしは咳き込んだ。

――うわッ、こいつの血ぃ付いちまってる。クソッ、おれ靴磨き行ったばっかなのによォ!

 ぶかぶかの服の足元の方を引っ張られると、もう一人の男は自分の革靴の先をわたしの服で拭いて、それから憎々しげにわたしを蹴った。

――おいおめぇら、やりすぎだぞ。死んだらめんどくせぇことになンだから、そのへんにしとけよォ。

 三人目の男はわたしの目の前まで来て膝を下ろすと、「おめぇもこれでわかったよな? 大人をあんまナメないほうがいいぞ」と言って、煙草の火をわたしの腕に押し付けた。わたしが小さく悲鳴を上げたのを見て、男はニタニタと口元を歪ませた。

 どうしてわたしには、こんなに酷いことばかり起こるのだろう。
 絶え間なく痛みが与えられるから、もういちいち痛い、恐い、などと思っていられなかった。目の前の世界も、わたしを痛めつける男たちも確かに動いているのに、わたしの心はまるで別の世界にいるみたいに、ゆっくりと流れていった。この痛みを、この恐怖を全然感じていないみたいに、心だけが独りで勝手に存在しているかのような、不思議な感覚だった。

 どうしてわたしには、いつも痛いことと恐いことしか、やってこないのだろう。
 母さんが連れてきたあの人も、今目の前にいるこの男たちも、みんなみんな、酷いことばかりするのだ。サントーロさんだってそう。いつもわたしにため息をついて、何をしても邪魔だという視線だけを投げかけてくる。母さんだってそう。どうしてわたしを置いていったの、どうして助けに来てくれないの。痛みの中で、そういう恨み言ばかりが、気持ちを支配していく。

 だから、痛みとは別の理由で、わたしは泣いていた。
 もうどうだっていいや、もうどうにでもなってしまえ――わたしが泣いたのは、わたしのまわりにいる世界への諦めからだった。
 ――もう諦めるから、だからせめて最後に一度だけ、この世界に何かを残していきたい。もしこの世界に神さまがちゃんといて、わたしを見てくれているなら、どうか一度だけ、わたしの望みを叶えてほしい。

 わたしが望むことは、もう決まっていた。わたしは――わたしはこの人たちを――

***

「ああああッ!」

 リリアナは、自分の叫び声に起こされた。その叫びとともにぱちっと目蓋が開くと、自分が泣いていたことに気がついた。ひどく寝汗をかいていて、それが涙と混じって頬をしっとりと湿らせている。
 目覚めた瞬間から時間が一秒、また一秒と経過するごとに、どんどんあれは悪い夢だったのだとわかって、意識がはっきりとしていく。リリアナは両手で額を拭いて、目をこすった。

 喉がひどく乾いている。口の中も乾いていて、唇を舐めると嫌な味がした。
 リリアナは上体を起こすと、しばらくベッドの上で虚空を見つめた。嫌な夢だった。もうすでに鮮明に夢の内容を思い出せるわけではなくなっているが、あれは「あの夜」の再現のような夢だったことは覚えている。
 汗はだいぶ引いてきた。リリアナはベッドから抜け出すと、階段を下っていった。

 ぎし、ぎしという音が、闇のなかに響いている。寝静まった町は暗く、このコンドミニオにもいまは誰もいないから、リリアナが階段を一段ずつ下りるたびに足音だけが現れては消えていく。一階に到着する頃には、もう目は夜に慣れていた。壁に掛けられた時計は、今が深夜だということを示している。

 リリアナは一階の台所まで来ると、冷蔵庫を開けた。その中には、リリアナがここに来た直後よりも種類も数も増えた食材たちがあった。魚、肉は少しずつ、野菜はいくつかの種類が、眠るようにそこに入っていた。先週初めてティッツァーノと一緒に食料品店に行ったときに買ってきたペコリーノ・ロマノは、まだ3分の1くらい残っている。
 冷蔵庫内の光が暗闇に比して明るすぎるくらいにリリアナの顔を照らしてきた。それが夜に順応していた目にぎらぎらと眩しくて、リリアナは目を細めた。少し背伸びをして、冷蔵庫の扉側の棚から水のボトルを取り出す。扉を閉じて、ひんやりとしたボトルの蓋を開けようとする。しかし、その手は止まった。

 リリアナは、再び夜に慣れていく目を半分くらい閉じて、あの夜のことを考えていた。
 身体中が痛くて痛くて、きっと死んでしまうのだと思った夜。神さまなんていないのだと思ったのにやっぱり神さまはいて、リリアナ自身の中のスタンドの力を引き出して、助けてくれた夜。あの男たちを、サントーロを、母親を、自分のまわりの世界をただただ恨んで、そして生きていくのをもう諦めようと思ったあの夜。

 スクアーロとティッツァーノはあの男たちが死んだと言ったけれど、正直なところリリアナは、それが本当だと信じられずにいた。自分自身で死んだと思ったのに傷一つなく生きていたという不思議な経験をしたし、スクアーロがスタンドを見せてくれもしたから、スタンドというものの存在はなんとなく受け入れられていた。けれど、自分のスタンドが、あの男たちを死なせることになったなんて、リリアナには信じられなかった。

 ――いや、「死なせることになった」のではなく、自分が「殺した」のだろうか?
 リリアナはその疑問が頭に浮かんでくると、ひゅう、と思わず息を呑んだ。手が震えて、持っていたボトルを落としそうになった。

 スクアーロとティッツァーノは、男たちが死んだことを「当然の罰」だと言った。リリアナだって、自分を散々に痛めつけてきた男たちに恨みがないわけがない。けれど、あの3人を自分が「殺した」のだとは信じられなかった――いや、リリアナは、信じたくなかったのだ――自分が、たとえ間接的にでも、人の命を奪ったのだということを。

 自分がされたことと、自分がしたこと。このふたつとどうやって折り合いをつければいいのか、リリアナにはわからなかった。
 ここで暮らして、スクアーロやティッツァーノと一緒に買い出しに出かけたり、料理をしたり、食事をしたりしている間は楽しくて、嬉しくて、たくさんの新しい体験に囲まれて忘れてしまう。けれど、リリアナはこうやって夜に一人でいると、あの夜のことを思い出さずにはいられなかった。

 手に持ったボトルから冷たさが伝わって、リリアナの指先は冷えていた。しばらく冷蔵庫の前で呆然と立っていると、外で車の音が聞こえてきた。居間の窓からは車の照明が差し込んできて、すぐに玄関の鍵が開けられる音がした。

「お、リリアナ。起きてたのか」
「ただいまリリアナ」

 スクアーロとティッツァーノが上着を脱ぎながらコンドミニオに入ってきた。仕事終わりのようだった。パチ、という軽快な音がして居間の電気がつけられると、リリアナは自分の意識がやっと自分の中に戻ってきたような心地がした。

「おかえりなさい」

 リリアナはそう答えてから、ボトルの中身を一口飲んだ。水の冷たさで、ますます意識がはっきりとしてきた。
 スクアーロは大義そうな様子でソファに沈むように座り込み、ティッツァーノは冷蔵庫の前に立っているリリアナの隣まで来ると、その肩をそっと押した。冷蔵庫の前が空いたので、ティッツァーノは扉を開けながら「何にする? ビールでいいかい?」と向こうのスクアーロに訊く。「おー」スクアーロからは適当な返事が返ってきた。

「起きてきたの? リリアナ」

 両手にビールの缶を持って肘で冷蔵庫を閉めたティッツァーノは、寝間着のままのリリアナに訊く。リリアナはこくん、と首を縦に振って答えた。

「……どうかしたのかい」

 少しの間が空いてから、ティッツァーノはそう尋ねた。ビール缶をキッチンに置くと、少し屈んでリリアナの顔を見た。「元気がないように見えるよ」そう言うと、リリアナの頬を撫でた。その手が温かかったから、リリアナはまた目の奥がつんとして痛くなった。

「…………」
「嫌なことがあった?」
「…………」リリアナはふるふる、と首を横に振った。
「わたしたちがいなくて寂しかった?」ティッツァーノはいたずらっぽく尋ねた。
「…………ううん」リリアナはまた首を振りながら答える。
「……恐い夢を見た?」

 そう訊かれるとリリアナは目をちょっと見開いてから、小さく頷いた。ティッツァーノは「そっか」と言ってリリアナを抱き寄せた。

「ここにいれば大丈夫だよ、リリアナ。だってここは、君の家だから。恐い夢を見たって、覚めればここは君の家なんだ。だから大丈夫。大丈夫だよ」

「大丈夫だよ」そう何回か繰り返しながら、ティッツァーノはリリアナの後頭部を撫でる。ティッツァーノの首元は、何かの甘い香りがした。リリアナの目の前は霞んでうまく先が見えなくなったから、抱きしめられた腕にしがみつくようにして、ティッツァーノに身体を預けていた。
「どうした?」様子を見に来たスクアーロに、ティッツァーノは目配せをする。するとスクアーロもリリアナの頭をぽんぽんと撫でた。

「……わたしは……」リリアナが口を開いた。
「うん?」ティッツァーノが返事をする。
「……わたしは、あの男の人たちを…………、殺したの?」

 その質問が耳に入ってくると、スクアーロもティッツァーノも眉間に少し皺を寄せた。ティッツァーノはリリアナの身体を離すと、その手を握って言った。

「君のスタンドが、彼らを死なせたのは……事実だと思う。でも君は無意識だっただろうから……君が彼らを殺したとは、言えないかもしれない」
「無意識じゃあないの」

 リリアナがティッツァーノの話しに間髪入れずに答えた。「え?」「ん?」ティッツァーノとスクアーロはそれぞれ、そう聞き返した。

「わたし、わたしね……」

 リリアナの目尻からは涙が流れていった。リリアナはあの悪夢を見て、嫌でも思い出すことになったのだ――あの夜、あの男たちなんて死んでしまえばいいのにと思ったということを。

「わたしね、あの男の人たちに蹴られたりしてたときに、神さまに、願ったのッ……。『わたしはこの人たちを絶対許さない、神さまどうか、この人たちを殺してください』って、願ったのッ……!」

 リリアナは顔を歪ませて、あぁ、あぁ、と声を上げて泣いた。自分がされたことの痛みと苦しみ、自分がしたことへの罪の感情がせめぎ合って、リリアナの心をぎゅうっと締め付けた。ごめんなさい、ごめんなさい、という言葉が、誰に向けて言っているのでもなく、こぼれ落ちていった。

 ティッツァーノは泣きじゃくるリリアナの手を、ずっと握っていた。スクアーロは険しい顔をしたあと、リリアナの片方の手をティッツァーノから受け取って、同じく握った。

「……おまえのせいじゃあねぇよ。あいつらは、おまえを傷つけたんだ。自分よりもずっと小せぇおまえを、好き放題、殴って、蹴って……」
「…………」リリアナはひく、ひくとしゃっくりを漏らしながらスクアーロを見た。
「仕方がなかったんだ……誰かを傷つけるやつは、誰かに傷つけられる覚悟をしていなきゃならねぇんだ……だからあいつらが死んだのは、仕方がなかった。……それだけなんだ」

 スクアーロは、どんどん流れていくリリアナの涙を、もう片方の手で拭った。それからリリアナを真直ぐに見て、言った。

「だからリリアナ。おまえも、このパッショーネにいる以上は覚悟しなきゃあならねぇ。誰かを傷つけることも、誰かに傷つけられることも。それがおれたちの生き方なんだって思うことにするんだよ、リリアナ」
「……うッ……う、……」

 リリアナの心には、たくさんの、一言では言い表せられない感情が混沌と在って、しかも嗚咽が喉を邪魔して、言葉らしい言葉を何も返せなかった。

「だけどね、リリアナ」

 ティッツァーノはスクアーロと同じように、リリアナの頬の涙をすくい取って、言った。

「わたしたちは君を傷つけないし、君と同じ覚悟をして、ここにいる。だから君が一人じゃあないことは、確かなんだよ」

 リリアナの目はとても赤くなって、まだしゃっくりが出てくる。けれど、しばらくしてから、少し震える手でスクアーロとティッツァーノの手を握り返した。ティッツァーノはリリアナに笑顔を見せる。でもその口元は上がっているのに眉間にはしわが寄っていて、どこか悲しげなものだと、リリアナは思った。だからリリアナの目からはますます雫が溢れていった。

「『ここ』は、君の家なんだ。君は『ここ』で、生きていくんだ」

 リリアナは、スクアーロとティッツァーノの腕の中に飛び込むようにして抱きついた。しばらく涙は止まらなかったけれど、2人はずっと側でリリアナを抱きしめていた。

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