5.
「う〜ん……、どうしたもんだ・・・。」
血塗れの男の子は、確かにまだ息はしていて、
暖かかった。
その事にまず安堵したが、
さてこの状況からどのようにして、助けよう……。
私は幼児で、この子一人を運べる程の力もないしなあ・・・。
かといって、知り合いなどいない私は、
助けを呼びにいけるわけもなく・・・。
取り敢えずは、傷の部分を自分の服を破って覆う。
失血死してしまいそうな勢いで、景気良くどばどはと血を出す傷口を、
間接と直接で止血し、なんとかどばどばと出る勢いは止める。
でも、後は何をしたらいいのか分からない…。
「あ〜、ピンチに必ずドラえもーん!!って叫ぶのび太くんの気持ちが痛烈に分かるっ」
今まで馬鹿にしててごめん!
ドラえもんものび太くんを甘やかしてんじゃねーとか思っててごめん!
私は今、猛烈にあなたの名前を呼びたいです!!
ドラえもーんと叫びたいのを何とか我慢して、
取り敢えずは、私が呼んだら来てくれそうな人の名前を呼ぶ。
「死神さーーん!!!」
がみさーん………
さーん………
んー………
「・・・・・・・。」
私の声だけが木霊する。
「あ〜、来るわけないかぁ…。」
「呼びましたか?」
「え!来るの?来ちゃっていいの?てか聞こえるの!?」
そんなご都合主義な……っ、
いくら二次元だからって、それは都合が良過ぎるでしょ!?
「ああ、こっちの生活はどうかなあと、丁度様子を見に来てたんですよ。
そりたら家に居ないので……。
意識を探っている最中に、呼んでいる声がしたもんですから・・・。
で、何か問題でもありましたか?」
「・・・・・・。」
都合良いなあ、この世界。
「まあ、その二次元特有のご都合に感謝してっ、
死神さんっ、助けて!
この子、死にそうなのっ!!」
「おや、早速出会ったんですねー?それこそご都合のいい。
大丈夫ですよ、その子はまだ死期が来ていませんから。
取り敢えず、家に運びましょうか?」
何でそんなに呑気なの!?
「死神さんっ、いいから早く!」
「はいはい、わかりましたよ。どれ、よっこいしょっと。」
「………、もう私なににも突っ込まないからねっ」
どっこい、どっこい、とうるさい死神さんを急かして、
その場を後にし、屋敷へと戻った。
→アトガキ。
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