2.
一通りの荷物をまとめ、
と言っても、楽器をケースに入れて、NARUTOの漫画を包んだだけだけど、
私は自分の部屋と、両親の部屋を行き来する。
真衣が寝泊まりする時に使っていた物、
生前の父母との思い出の物、
全部持っていきたいけど、
きっとそれは叶わない事だろう。
それに、思い出の物と一緒に、
違う世界に行ってしまえば、
私はきっと、耐えられないと思う。
「……準備は出来ましたか?」
音もなく、突然そこに現れた死神さん。
「おそい!!」
「いや〜、案外準備に色々と時間が掛かりまして…」
私の開口一番の台詞に、
死神さんは疲れ気味に答える。
「まず、財産云々は真衣さん一家が相続するようになっているみたいですが、
依存ないですか?」
「うん、大丈夫。
両親が死んだ時に、私が税理士さんに頼んだから。
じゃあ、もう行くの?」
「はい、準備が宜しい様でしたら、
……行けますよ?」
最後の確認、というように
死神さんは私に鋭い目線を向けて、
手を差し伸べる。
覚悟は決まってる。
私は、一回唾を飲み込み、
楽器を片手に抱え込み、死神さんの手を取った―――――。
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