1.
すぐにNARUTOの世界に連れて行ける様に手配をするから、
それまでの間は、
この世界の旅立ちの準備をしていてくれと言われた私。
って言っても、
何か持ち出していく訳にも行かないなあ〜…。
まぁ、NARUTOの世界の知識なら腐るほどあるし、
大丈夫でしょ!
でも……、
大きい物でも持って行けるのかなぁ?
それなら、母さんと父さんから貰った
ヴァイオリンとピアノ、
それに愛用の笛を持って行きたいんだけどなぁ〜。
どうなんだろ?
こっちの世界の物って、
持ち出し不可なんだろうか……。
ちゃんと説明してからどっか行ってよねー…
ぶつぶつと言いながら、
取り敢えずは持っていきたい愛器たちをケースに入れる。
ピアノは取り敢えず、保留で。
自宅に移った私の周りには、
薄い膜が張られてあり、
私が触りたいと思った物にしか触れない仕組みらしい。
NARUTOの漫画を読み耽りながら、
我が家との別れを惜しむ。
初めてこの家に来た日のこと、
真衣と遊んでて付けた傷たちや、
写真を撮るのが好きだった父の、
沢山のアルバム。
壁に掛けられたボードには、所狭しと私や母の写真が飾られている。
父母が死んでからは、
とても寂しい空間だったリビングや、
皆で演奏出来るように作った防音室。
私は、ある意味ラッキーだったかも知れない。
こんなにも、名残を惜しんで死んでいける。
家を見渡しながらそう思い、
こっそり死神さんに、感謝した。
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