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I am diffident.






いつもいつも 俺を庇ってくれる奴が居た。そいつは幼なじみで俺にとってかけがえのない存在で。
気が付けば中学生になった俺とそいつの関係は今も昔も変わらず幼なじみ。

特に不満はなかった。
そもそも彼に不満を抱いた事すら俺にはなかった。

俺がそいつに友情以上の感情を抱いたのは出会ってすぐの頃だろうか。
通常なら 俺の年ぐらいになると好きな奴に告白したり眠れぬ夜を過ごして胸を焦がしたりするものだが どうやら俺はその点が他の人とずれているらしい。

好き と感情のままに声に出しても俺自身実感がない。

口にしてしまうと急に心の中に言葉の分だけ隙間が空いてしまう。
そんな感覚。


だからだろうか。
俺は彼に伝える気もなければその返答を聞く余裕すらない。

彼は俺の気持ちに気付いたとしても余計な詮索はしないだろう。そして俺も余計な事は言わないだろう。

そうしていつかこの気持ちは心の中で色々なものに埋もれていくのだろう。

一見残酷に見えるけど、俺にとってはその方がよっぽどいい。
気付かれないままの方が。


好き、好き。
今は傍に居てくれればいい。
いつか離れていってもいい。
お前に彼女が出来てもいい。
お前が幸せならそれでいい。

俺はお前の友達で親友でライバルで家族でチームメイトでそれでそれで。

でも決して恋人にはならない。


俺達の関係に恋なんて括りは要らない。

でも、もしもお前が俺を異性のそれと同じようにそのコバルトの瞳で見つめる日が来たら。

俺は迷わず埋もれた気持ちを採掘してお前に答えるんだろうな。

俺もだ と。

でもそんな上手くいくような事そうそう起きたりしないから。だから俺はお前に伝えないのかもしれないな。

結局俺は逃げてるだけなのかもしれないな。

これといった確証も何もないまま、お前に何かを伝えるなんて出来ないのかもな。

ごめん。

自信がないだけかも。


「すまない 好きだ」


口から出た言葉は俺の心から何かを奪い 代わりに言葉にし難い感情を埋め込んだ。





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