イナGO | ナノ

奇妙な連帯感




※暴力表現アリ



神童に頼られると嬉しかった。勉強でも部活でも、神童の羽休めになれる俺は役得だと喜びを感じるしこれはエゴではない。神童の方も少なからず俺が彼にとってそういう存在で在る事を自覚していた。同時に、俺以外では彼の羽休めどころか休憩所にもなりはしない事を悟っていた。俺達は互いに了承し合った上での拠り所という関係なのだ。

神童がおかしくなったのはそれから。

彼の俺に対する態度に波が出てきた。ある時は俺に縋り付き、またある時は俺に怒り狂う。ひたすらに謝罪を繰り返し、かと思えば暴力を振るう。どうしたのかと聞いても、わからないと涙で瞳を濡らすばかりだった。
そんな彼の様子を俺は苦い顔で見ていた。そして彼を受け入れる事にした。俺は彼の拠り所として、その役務を果たさなくてはならなかったのだ。

捨てないでくれと言われたので抱き締めた。俺に従えと言われたので頷いた。泣き疲れて散々人を殴り蹴り、それでも最終的に彼は必ずこう言った。


「霧野が居ないと駄目なんだ」


依存と言うには重すぎて、病んでいるというにはあまりにも不躾で、共存とも言えないこの状況。言い換えるならば。

「…俺もだよ、神童」


執着、だよな。


彼に作られた青アザは未だに色味が引かなかった。








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