※大学パロ(同い年設定)
目覚まし時計が機械音を発して起きた。朝の6時30分。予定ぴったりの時間。体を起こそうと動いた瞬間、後ろから手が伸びてきて俺を押さえ込んだ。
「んー…」
「…」
振り向かなくても分かる、こんなことが出来るのは一緒に住んでる雪村君だ。
背中からのぬくもりに、少し眉が寄るのが自分でもわかった。同い年の男に無意識に抱きしめられるってなかなか腹が立つ。…いや、屈辱的、かな。雪村君の腕の中でくるっと体の向きを変えて彼の顔と向き直る。だらしない寝顔。
「ちょっと雪村君、起きて」
「んぁ…?」
「朝だよ」
「んー…」
生返事しかしない雪村君にイラッとする。返事はいいから早く起きろよこのタレ目。
「うー…」
小さく呻くと、彼は俺の顔をぼんやり見つめてからまた抱きしめてきた。俺よりも少し高い身長と、温かい温度。名字のわりに体温は高い彼に抱きしめられると、夏は辛いけど今の季節、冬だとちょうどいい。だから少しだけ、彼の体に身を寄せてしまった。
「…かりや、ひんやりしてて気持ちいーな」
ゆるい笑みを浮かべた雪村君。いつもはどちらかと言うと真面目な顔をしていることが多いから、そんな幼い表情は珍しくてついまじまじと見てしまう。ゆるい時は前から変わらない。初めて会った中学生の時からずいぶん経つのに。今はお互い大学生だ。
「…んー」
俺を抱きしめていた手を離し、そのまま真上に伸ばす。みょーん、と若干体も反らして伸びをしたら、彼はもういつもの雪村君になっていた。
「おはよう、狩屋」
爽やかな挨拶をされ、俺は反射的に視線をずらした。
「おはよ」
ボソッと小さく呟いた俺を一度だけぎゅっとしっかり抱きしめて、雪村君はベッドから身を起こす。シーツが捲れて、冷たい外気が肌に触れてつい縮こまった。長袖長ズボンでも辛いのに、彼は何でもない様子でさっさと歩き始める。雪国出身だからへっちゃらなのだろう。
「狩屋ー、今日の朝飯当番お前だろ?早く起きろよー!」
廊下から叫ばれる。わかってるよ、でもお前が抱きついてたから起きられなかったんだよバカ豹牙。そう言いたいのをグッと飲み込んで一度溜め息を吐く。
「狩屋ー!」
また呼ばれる。
「わかってるって!」
半ばヤケになりながら言葉を返した。そして、暖かいベッドをゆっくりと抜け出し、早足で温かい彼の元まで向かって行く。
1日のはじまり
−−−−−−−−−−
雪マサ可愛い(大学パロって書くの忘れてたいっけね)