text | ナノ
「ぶ、っくしゅん!」
隣の盛大なくしゃみに苦笑しながら、アイチはカードキャピタルまでの道を歩いていた。休みといえど目的地は放課後と変わらないのだが、この寒さにと部屋に籠もるのも如何かと思って出掛けられる場所をと考えると、浮かぶのは行きつけのショップぐらいだった。
「でも途中でカムイ君と会うとは思ってなかったなぁ…」
「家に居ても宿題ぐらいしかすることないですし、どうせならカードキャピタル行った方がなぁって」
服を着込んですっかり冬支度なカムイ。跳ねる度に首に巻かれた暖かそうなマフラーの裾がぽんっと揺れる。対して通学用のダッフルコートを防寒具として羽織っただけのアイチは、ひゅるりと吹き抜く冬の訪れに身震いした。カムイ程では無いが鼻の辺りが冷えてむず痒い。
「…あんまんでも買っていこうかなぁ…」
「流石お兄さん、メスバリできるって素敵です!」
「気配りだね」
ちょっと寄り道をしてショップの幾つか手前の角を曲がると、見慣れたチェーン店の外装。保温機から取り出される湯気の塊にほくほくと胸が躍る。袋越しの暖かさに、二人して微笑む。店員の営業スマイルを背中に受けながら、カムイはさっき買った中身を確認する。
「肉まん三個にあんまん三個…あれ、一個多くありません?」
「カムイ君にあげようと思って。付き合ってくれたお礼に」
「そんな悪いですって!」
謙遜するカムイの冷えた手に、紙に包まれたあんまんを一つ乗せる。渋ったように眉根を下げるカムイだが、やんわりとアイチが微笑めば年長者の威圧に耐えられなくなったらしくおずおずと受け取った。そしてもふりと半分にちぎったあんまんの片方を、アイチに差し出した。
「カムイ君?」
「半分こ、です!」
下からにっと笑うカムイ。ほんのり暖まった指先からそれを貰って、二人でぱくつく。ぴりぴりと籠もった熱が舌を焼くが、それ以上に広がる甘さに思わず顔を綻ばせる。はふり、と白い嬉々を吐き出しながら仲良く歩くアイチとカムイの背中は、寒さに縮こまりながらもとても幸せそうだった。
雪化粧前の白い幸せ
*** 〜0209までの拍手文でした。
昔は休日の朝に近所のコンビニを目指して散歩してました。帰りにもふもふがとても美味しかったです。
わけっこアイカム。兄弟のようなそうでないような…?
120209
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