text | ナノ




※ちょろちょろ捏造あり



妬ましかった妬ましかった。

わたしは幼い頃から才に溢れていて、養成学校でも優秀で、将来も期待されていて。兎に角他のエンジェルの誰よりも、わたしは格上で恵まれていると自負していた。

一応同期である、失敗を繰り返しいつでも間抜けな笑みを浮かべる赤髪の女の子を、わたしはよく覚えている。似たようなトランペットを持っていたから尚更記憶に残っている。養成学校に居た誰よりも、元気で間抜けで馬鹿らしくて、よくへらへらと笑う子だった。
能力も成績もあまりいいとは言えず、おっちょこちょいで成功する事よりも失敗する事の方が多かったように思う。

彼女との直接的な接点は無いけれど、よくわたしとの比較に彼女が出てくるから嫌でも記憶に残る。
呆れ笑いや茶化しや羨望や、色々な視線と言葉が投げかけられる中あの子は「やっちゃった」と何時ものようにへらりと笑うだけだった。特にその事に関しては何も感じはしない。それは彼女の彼女なりの精一杯やった結果なのであり、例え結果が評価するに値せずとも笑う事ではない。

ただやはり、彼女と比較されると自分の才能が際立つという事に関しては否定しない。それもまた事実だから。
そしてわたしは、比較される度に己の才を自覚し切磋琢磨と磨き合う同期よりも常に上に在ると思っていた。





何故ですか何故ですか。

あの輝かしい真白な騎士の中に居るのが、何故わたしでなくあの子なのですか。
わたしはあの子よりも才能があって優秀で有望視されていたのに。あの子はわたしよりも無能で劣等で絶望視されていたのに。差は、歴然だったのに。
なのに何故あの真白な騎士達は彼女を迎え入れたのですか。お荷物は要らない筈ただ力の在る者が立てばよいその場所に、何故非力で無能な彼女が要るのですか。

ぎりぎりと噛み締める奥歯は自尊心と共に音を立てて崩れそうで。今まで築いてきた総てが粉々に散って、残ったものなど抜け殻のようなちっぽけな自分だけ。

空っぽの頭で考えるのは彼女への嫉妬、彼等への絶望。

瞬間視界と思考と脳内が全部真っ暗に染まって、それからの出来事は憶えていない。





嗚呼至高嗚呼至高。

高らかに高音を奏でるトランペットの音色は死体の如く転がる戦士達に吸い込まれ、ぞろりと這うように動き出す。疲弊した者は皆私に癒しを求め、死人同然に使い捨てられた者はあぶれた呪音にゾンビのように立ち上がる。
此処では私ほど優れた奏者は居ない。だから才能を遺憾無く発揮できる、誇れる。そして皆、私を必要とする。

自分のしている事が悪い事だなんてこれっぽっちも思わない。正当化した綺麗事を並べていた学院よりも、この闇で学んだ虚実の方が私には馴染んだ。ただそれだけ。
此処で翳す正義が幾ら正でなくとも、私にはそれが真実。此処で得た地位と虚無が全て。嘲り見下していたあの頃の私は居ない。愚かだった、私を彼ら如きと同じ物差しで測ってはいけなかったのだ。そう、あの彼女とも。



暗く日射しの射さない湿った大地の上で、私は今日も復活と慈愛の音色を奏で続ける。



白いあの子は私の○○対象





***
黒ぺったんのユニット設定に萌えた結果。
闇堕ちしていく過程とか闇堕ち似た者同士でいろいろしたい。

ロイパラが威圧に圧倒されちゃうような気がするけれど、きっとどちらも共存できると思うんだ。
アニメではきっちり善悪つけられちゃいそうだけど、どちらにも彼等なりの正義とか考えがある筈。
…なんかもう、丸々ユニットだけで単行本出せるんじゃね?



×