SSS | ナノ

ノッブと天草と沖田さん(FGO)





短編と繋がっているようないないような



「げっ、また出おったな聖杯欲しい男!」
「人を妖怪扱いですか……まぁ強ち間違いでもないですが」
「ちっとは否定せい!」

 最近、ノッブと居るとよくこの神父さんに遭遇する。ノッブの口調からして私と居るとき以外にも会っているらしかった。大概が偶然を装った彼がひょこっと廊下の角だったり部屋の扉から現れて、いかにもたまたまノッブを見かけたみたいに片手を挙げて挨拶してくる。きらきらとした笑顔は胡散臭さもあるけれど、神父のものだと言われれば納得するぐらいには整っている。一方ノッブはといえば、彼に会うとこれでもかと云わんばかりに顔を崩して悪態を吐く。唾を飛ばすのも時間の問題……あ、早速飛ばしてますよはしたない。

「わしは聖杯拾い機じゃないんじゃ! そーゆうのはあのドラゴン娘に頼めぃ!」
「私が幼気な少女を騙して拾い物を掠め取るような、そんな悪党に見えますか?」
「少なくともまっとうな聖人でないことだけは判るぞ!」
「だから私、聖人認定は受けていないんですって」

 くすくすと品のいい薄い笑みを浮かべる天草さんに食ってかかるノッブ。これじゃあすっかりノッブがチンピラじゃないですか。この二人はどうもあの黄金の杯が絡むと途端に妙な仲の悪さ(もしかしたら良さかもしれない)を見せる。そりゃあ、願いの叶う杯なんて欲しがらない方がおかしいのかもしれないけど。そしてノッブも、聞くかぎりでは天草さんも、それをだいぶおかしな方向で欲しがっている(ノッブは面白ネタとして求めている節はある)。ノッブ曰く、天草さんの願いは「傲慢」らしいけど、その本質を知らない私は、願いを聞いても優しいひとだなぁという感想ぐらいしか湧かない。そもそも興味がないだけかもしれないけど。




2017/12/12


×