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▼ 日本食が恋しくなる二人(ベイバ)
「ごちそうさまでしたーっ!」
高らかに叫ばれた感謝の言葉と響くような手を合わせる音は、最近のBCソルではお馴染みとなっていた。発信源であるバルトは満面の笑みで空っぽになった器とトレイを持って立ち上がる。それに続くように、クミチョーもがつがつ掻き込んでいた器をトレイに置き、バルトと同じく手を合わせたあと、待てよ! とその背中を追い掛けていった。
「アニキたち、相変わらずだなぁ」 「日本人がご飯のときあんなに元気なのって普通なの?」 「いやぁ……あれはアニキたちだけなんじゃないかな……」
ひとつ離れた席で同じく食事をしているキットとハニーは、少し呆れたように二人を見ていた。少なくともキットがテレビで観た日本人は、二本の棒を使ってもっと静かに食べていたはずだ。尤もあの番組は「コウキュウカッポウリョウリテン」なるお店でキモノを着た大人たちが粛々と食事をしている映像しか流していなかったので、キットの中の日本人造形の敷居が若干高くなっている可能性は否めないが。
「キットまだ食べてんのかー?」 「アニキたちが急ぎすぎなんだよ。ご飯は逃げないしなくならないって」 「別に食べるスピードは日本にいた頃と変わりないけどなぁ」 「早食いは昔からなのね……」
デザートのムースに手をつけたサーシャが苦笑気味に言う。早食いしてるつもりはないんだけどなぁ、と頭を掻くバルトだが、クミチョーは自覚があるのか仕方ねぇだろ癖みたいなもんだし、と口直しの棒つき飴を銜えながら答えた。
「オレんち、父ちゃんもオレもよく食うんだよ。多分たくさん食べたいから早いんだと思うぜ」 「オレはー?」 「バルトんとこはトコニカいるからじゃね?」 「兄弟いると早食いになるのか?」 「なんつーか、兄弟多いとおかずの取り合いしてがっつくイメージあるんだよなぁ」 「じゃあダイナんとこもしてんのかな」 「いや、ダイナは弟に譲ってると思う」
このとき、日本にいるだろう渦中の人物が病院でくしゃみをしていることを、二人は知らない。
ちんたら書いてたらその渦中の人物が渡来してくるみたいなので供養
2017/06/19
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