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デニスと権ちゃんの1031(ygo)






ほんのりデニス→権現坂



「ゴンちゃーん! Happy Halloween!! yay!!」
「うぉっ!?」

 パーンッと盛大に響いたクラッカーの音と僕の登場には流石のゴンちゃんも不動を貫き通せなかったみたいで、大きな肩がびくりと持ち上がった。火薬と共に撒き散らかされたクラッカーの中身をいそいそと回収する僕に向けられる視線の種類は、呆れと冷め。僕、そんなに碌でもない提案ばっかしてるつもりはないんだけどなぁ。

「ハロウィーンと言ったな。また何かやらかすつもりか?」
「やらかすだなんてとんでもない! 僕とゴンちゃんで、皆にお菓子を配りに行かないかなぁって!」
「俺を巻き込んでいる時点でやらかしているだろう!」
「だーってぇ、僕一人で回ってもいいんだけど、何人かは絶対警戒して受け取ってくれそうにないんだもん。その点ゴンちゃんが渡せば安心安全だと思ってくれるに違いない!」

 特にエクシーズ次元の彼らは相手すらしてくれないかもしれない。黒咲とか黒咲とか黒咲とか。

「俺をダシに使うな! というか信頼云々はお前が自分でやらかしたことだろうが!」
「はいはい、お説教なら後で聞くから。まずはゴンちゃんをハロウィーン仕様にしなくちゃねー……ワン、ツー、スリー!」

 煩いゴンちゃんに大きな布を被せて、はい指パッチン。するとあら不思議、布の下からはリアルビッグベン-Kが!

「のわっ!?」
「何となくゴンちゃんに西洋の仮装は合わない気がしたので、思いきってコスプレ路線にしてみました!」
「みました、ではない! そもそも俺は行くとすら言っていないぞ!」
「もう、ここまで来て連れないこと言わないでよー」
「……大体、頼みがあるなら、こんなことをする前にきちんと言うものだろう」

 確かに、それもそうだよなぁ。人一倍礼儀を重んじているゴンちゃんを無理矢理丸め込もうとしたのは僕の失敗だった。

「それもそうだね……では改めて。一緒にハロウィーンのお菓子、配るの手伝ってほしいな」
「…………うむ、いいだろう」

 僕が言うのもあれだけど、ゴンちゃんって思った以上に純粋だよねぇ。きちんと非を認めて謝れば許してくれちゃうんだろうし、今だってそうだ。仲のいい相手の頼みを無碍に断るのは良心が痛むんだろうか、僕が正面切ってものを頼むようにそれとなく誘導されたような気がする。ほんと、お人好しだなぁ。

 表立って見せない優しさに気づかないフリをして、僕も布を被る。たかが着替え、されど着替え。観客と呼べるかあやしいたった一人を前に、僕は自分自身に魔法をかける。ワン、ツー、スリー。
 トンガリ帽子に星の杖。大人しめの服を纏って、さっきの布は、いつの間にやら黒いローブに早変わり。さぁ、僕は今から魔法使い!

「てっきりトラピーズ・マジシャンの格好でもすると思っていたんだがな」
「仮装パーティーならそうしたかもね。動きやすくて僕らしいなら、これでも十分でしょ?」

 くるりと包まれたローブごと回ってみせる。いい感じに目深な帽子もなかなかにミステリアスだ。今日だけは、手品(マジック)を魔法(マジック)に見せなくちゃ。誰かを楽しませることに変わりはないけれどね。

 お菓子の仕込みは万端。役者も揃えた。あとはお祭り騒ぎに乗じて、皆にお菓子をばら撒くだけだ。

「じゃあゴンちゃん、プレゼント配りにレッツゴー!」
「クリスマスと混同してやいないかお前!」

 めくるめく夢のような一日の、始まりはじまり!





ここから各次元の遊矢シリーズ柚子シリーズ+αにトリトリしに行くデニスと権ちゃん。
多分平和なのはスタンダード次元とシンクロ次元ぐらいかな。融合次元はユーリが俗物だねぇなんておちょくる隣でセレナが目を輝かせてる隣で素良が権ちゃんにお菓子せびってそう。エクシーズ次元は言わずもがな(※但し黒咲の権ちゃんに対する好感度は高い)


最終的に
デニス「あっはっは、魔法使いの正体は人狼でした、なーんて」「Trick or Treat?」
みたいなデニ権どうですか。




2015/10/31