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うちのこ一番(FT)






滅竜魔導士×3の親バカトーク




「ハッピーが一番に決まってんだろ!!」
「シャルルが一番です!」
「俺のリリーが最強だ!!」


 ギルド内で咆哮される三つの声。此処最近毎日のように繰り広げられる同じ台詞から始まる言い合いは、あまり日数が経った光景ではないにも関わらず最早何年も続いてきているかのような貫禄と既視感を一同に与えていた。普段ならこういったいがみ合いには野次を飛ばすギルドの面々も、この話題ばかりにはまた始まったかと遠巻きに避難していく。


「まーたやってんの?アイツ等」

「あい。飽きないよねぇ」


 カウンターからその様子を鍵を磨きながら横目で見るルーシィと魚を頬張るハッピー。自分が話題に上っているというのにも関わらずもりもりと魚を食べるハッピーの神経の太さに関心しつつ、がみがみと大口を開けて騒ぎ出す滅竜魔導士達をぼんやりと見やる。


「ここんところ毎日よねー。前よりも騒がしくなったような気しかしないわ……」

「きっとガジルも嬉しいんだよ。滅竜魔導士の中で一人だけエクシードが居なかったんだもん」

「…意外と可愛いとこ、あるのね」


 呆れ顔で尚も言い合いを続ける三人を見る。ナツは兎も角基本温厚なウェンディまでもが参戦していることに意外ねぇ、と思いながらも、結局皆猫バカなのだと考えると苦笑しか浮かばない。その間も続くそれぞれトーンの違う三人分の大声がギルドを占める。他のガヤが可愛く見えてくるほどの剣幕とオーラ。


「ハッピーはな、飛べるんだぞ!」

「エクシードは皆飛べますよ!」

「俺のリリーはエドラスの魔戦部隊隊長だったんだぞ!」

「その肩書はアースランドじゃ何にもなりませんよ!」

「じゃあーウェンディはーシャルルのどこが自慢なんだよー!」

「シャルルは私が困ってると助けてくれますし、すっごく博識です!それに気品のある上品な行動は、ハッピーやリリーにはできませんよ!」

「う、……」

「言い返せねぇ……」


 びしぃっ!とカウンターで未だ魚をもりもり食べるハッピーと少し離れた所で寝たふりを決め込むリリーを指して、ウェンディ。なんじゃそりゃ、と周りは思うが、当の二人はしっかりとダメージを受けているので作戦としては大成功である。喧騒の外で、ハッピーもリリーもウェンディの言葉に少しばかり胸が痛んでいたりするのは内緒だったりする。


「せ…戦闘力的には、ハッピーはシャルルよりも強いぞ!」

「シャ、シャルルはサポート専門なんです!」

「その前にリリーが居るだろうが!お前の青猫なんざ一発KOに決まってんだろ!」

「ぐぬぬ、意外な伏兵が……もうリリーエドラスに帰らせろよ!!」

「ざっけんな糞野郎!!」


 言い合い、殴り合い、果てには魔法を使用した喧嘩。三匹の猫達を差し置いて繰り広げられる親馬鹿戦争は、今日も明日も終わることは無い。いがみ合っているようで思考回路はそっくり(但し愛猫に限る)な彼等を見て、フェアリーテイルの面々は常々こう思う。お前等絶対仲いいだろ、と。




ちょっと短編として上げるには短過ぎたのでこちらに。2年ぐらい前に書いたものを見つけたので。

ガジルが本編で「俺のリリー」を連呼していたのも随分昔の話ですね。エクシード達は毎日呆れて物も言えない。でもちょっぴり嬉しかったりするのは口に出しません。




2014/07/31