「遊夜ちゃん好き!」

「ごめん無理」

「またかよ!いつになったらOKしてくれんの?」

「何回言われても無理なもんは無理」

「何でだよー俺のこと嫌い?」

「…嫌いじゃないけど」

「じゃあ好き?」

「…別に」

「ヒャハハ、御幸またやってんのかよいい加減懲りろよ!」

「うっせー倉持!」


朝からお馴染みの光景。

何回撃沈しても告白してくる御幸に呆れ顔で流す遊夜。それを笑いながら見てる俺、みたいな?


「わかった、遊夜ちゃんはツンデレなのか」

「何その勘違い」

「そんな遊夜ちゃんも好きだけど」

「ちょ、離せバカ!」

「ヒャハ、御幸セクハラ〜」


ガバッと御幸が遊夜に抱きつく隣でいつもの調子で笑ってる俺は、ちゃんと気付いてる。

遊夜の顔がほんのり赤い。


遊夜は御幸が好き、だと思う。どういう理由があんのか知らねーが、振りまくってるけど。


「ちょっと倉持、助けてよ!」

「あ?てめぇで何とかしろ」

「あんたんとこのキャプテンでしょ!」

「関係ねー関係ねー」

「キャプテンの教育くらいちゃんとしろ副キャプテン!」


んな事言われても、今ここで遊夜から御幸引っぺがしたところで後で怒られんのは俺だしな。

第一遊夜も本気で嫌がってるように見えねーし?


「なに遊夜ちゃん倉持なんか頼ってんの、俺妬けんだけど」

「誰のせいよ、誰の」

「えっ俺?」

「あんた以外に誰がいんのこの眼鏡!」

「俺眼鏡じゃねーもん」

「どう見ても眼鏡だから!」


はーなーせーと言いながら遊夜は御幸の体をぐいぐいと押していた。びくともしないけど。


「遊夜ちゃん、好き」

「……っ!」


御幸が遊夜の耳元でふっと囁いた途端、遊夜の顔はぼんと赤くなる。


あーもう、何で俺の横でこんな青春してる訳?こいつら。

何かイライラしてきたわ。


「遊夜、いい加減意地張んのやめろよ」

「ちょ、倉持何言って…」

「顔真っ赤だから。素直になれって」

「う、そ」

「御幸が好きなんだろ」

「……」


ちょっといじめてやると、遊夜はすっかり黙ってしまった。


御幸にちゃらけて言われるのは慣れてっけど、他人に指摘されるのは初めてみてーだな。


「…なぁ、それまじで?」

「み、御幸、これはあのちがくて」

「もう今更何言われても言い訳にしか聞こえない」

「…っ」

「遊夜ちゃん、俺と付き合って?」


こくん、と小さく頷く遊夜。それを見て御幸は満足げに笑った。


「やべー!俺遊夜ちゃん超好き」

「…あたしも、御幸好きだよ」


すっかりいきなりラブラブになってしまった二人に、俺の口はあんぐりとあいた。

こんなちょっとからかったくらいでくっつきやがって、余計うざくなったじゃねーかよ!俺は恋のキューピットかよ!


「倉持も早く彼女つくれよ?」

「うっせー!」

「遊夜、手つなご」

「え、やだ恥ずかしい」

「いーからいーから」

「…もう、御幸のバカ」


「……」



やべ、俺も彼女ほしくなってきた。




















(何で御幸の事振りまくってた訳?)
(御幸には…大切なものがあるじゃん)
(は?何それ)
(野球)
(……)
(邪魔はしたくないんだよね)
(…お前、いい女だな)





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