「あ、」
「何、どしたの小湊」
「携帯なくした」
「やばいじゃん」
「ちょっと椎名、コール鳴らしてみてくれない?」
「いいけどあたし番号知らないよ」
「確か、080-****-****」
「りょーかーい」
ヴーヴー
野球部だからマナーモードにしてるんだろうか、震動が鳴った。
ただよく耳をすましてみると、すぐ傍から聞こえてくる…気がするんだけど。
「もしもし」
「ちょっと、小湊…?」
「何?」
「ポケットに入ってるじゃん!携帯!」
「ポケット探すの忘れてたんだよ」
「そんな事ある!?」
「ありがとね、椎名」
不意打ちで微笑まれて、思わずポッとほっぺたが赤くなってしまう。
「ま、まぁ…あってよかったね」
「椎名、携帯光ってるよ」
「あ、ほんとだ」
見ると、サイレントマナーにしている携帯が青く光っていた。
「はい、もしもし」
「もしもし、椎名?」
「え?」
電話から聞こえた声が、そのまま目の前からも聞こえた。顔をあげたら、小湊が自分の携帯に向かってしゃべっていた。
「椎名のケー番ゲット」
「…え?え?」
「また暇な時電話するから」
出てね?、とにっこり笑って小湊はどこかへ行ってしまった。
(…ええええーーーーー!?)
(おい、椎名爆発してんぞ亮介)
(クス、可愛いよねほんと)
(お前マジでタチわりーな)
(純もメルアドくらい早く聞いたら?)
(うううるせーよ!)
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素直に番号きけない亮さん。