「わー…広い」

本日は晴天なり。あたしは『青道高校入学式』と書かれた看板の隣の門をくぐった。

あたし、高島遊夜は今日から青道高校の生徒になります。でも一般の生徒じゃありません。訳あって両親がいないあたしは、野球部員でもないのに寮生になるのです。

かなりの特別待遇!あたしの従姉妹の礼ちゃんこと高島礼が監督に頼んでくれたんだって。ただし、入寮する代わりに条件が一つあるの。

「いたいた、遊夜!」
「あっ礼ちゃん。うわー久しぶり!」
「どう?もう野球部の子とは会った?」
「んーん、まだ」
「マネージャーたるもの早く慣れなくちゃね」
「そーだねえ」

そう、あたしは野球部のマネージャーになる。さすがに野球部の寮に無関係の人間をいれることは出来ないらしく、女のあたしはマネージャー。

まぁこれも礼ちゃんのツテあってだけどね。

「私は入学式出席できないけど、頑張ってね」
「ありがと礼ちゃん、また寮でね!」
「えぇ」

あたしは礼ちゃんに手を振ってからクラス表を見上げた。私立だからか、あたしの他に知ってる名前は無い。少し不安だけど、あたしはこれから高校生。ワクワクドキドキ、何だかんだ楽しみ。

「えーと…あたしのクラスは…っと」

ドンッ

「わっ!」
「あ、ごめん大丈夫!?」

急に誰かにぶつかられて思わず地面に膝をついた。するとぶつかってきた男の子は、あたしに右手を差し出した。

「だ、大丈夫です」
「新入生?可愛いね」
「はい?」
「ヒャハ!ついでに軟派してんじゃねーよ」

突然の口説き文句と独特な笑い声に顔を上げた。そこにいたのは黒縁眼鏡の癖っ毛の男の子と、短眉ツリ目のツンツン髪の男の子だった。

「…うわー美形」
「「は?」」
「あっ、すいません思わず!!」

うっかりそのままの感想を口から出すと、目を点にするイケメン二人。だって本当に格好良いんだもの。

「口説き文句返し?」
「誰も御幸の事だとは言ってねーだろ」
「誰も倉持の事だとも言ってねーだろ」
「真似すんな!」
「はっはっはっ」

すっかり見惚れるあたしを置いて、上級生の2人は何やら話し出した。しかし話すというよりかは、口喧嘩に近いのかもしれないが。

「…あの」
「大体笑い方きめぇんだよ、眼鏡」
「あの、」
「お前には言われたくないぜ?ツリ目」
「…あのー」

ダメだ、聞いてない。何なんだこの人達は。あたしの言った台詞が話題なのにあたしを放って。

「あたしのために争わないでくださーい」
「「違う!!!」」

やる気なさげにポツリと呟くと、勢い良く振り向いてハモる二人。

「仲良いんですか?悪いんですか?」
「…ははっ!君面白い」
「それはそれはありがとーございます」
「棒読み!ヒャハハ」

真顔ですらすら喋ると、二人は顔を見合わせて笑い出した。

なんだなんだ、失礼な人達だな。

「俺、御幸。コイツは倉持っつーんだけど」
「ちなみに二年、あんた名前は?」
「高島遊夜でーす」
「「…高島?」」

またハモってる。本当は仲良いんじゃないの。

「もしかして、礼ちゃんの従姉妹の?」
「あの例の寮入るマネージャーって奴かよ」
「あ、はい」

まじかよ、と言いながら二人は目を見開いた。あたし、有名人?

「こんな可愛い子だったとか、ラッキー!」
「テメェ襲うなよ!」
「え?まさか先輩達…」

やばい、嫌な予感がする。しかも絶対当たってる気がする。

「はっはっは。そのまさか♪俺達は正真正銘、」
「青道高校野球部二年、倉持洋一、御幸一也」

思わず目眩がした。

「「よろしく」」

こんな個性的な先輩達がいる野球部で、果たしてあたしはやって行けるのでしょうか。

「……よ、よろしくお願いします」

さて、あたしの明日はどっちだろう。

明日の天気
(ちなみに野球部は全員飢えた狼だから)
(覚悟しといた方が良いかもしんねーよ?)







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御幸と倉持は常に
二人で居ればいい。

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