悪戯好きなお姫様


イライラする。


「くーらもち」
「何だよ、遊夜」
「あはは」
「大丈夫かオマエ」


ここは寮の俺の部屋。
一緒にいるのは倉持と、俺のカノジョの遊夜だ。

ひたすらスコアブックを見続けている俺を差し置いて、倉持と遊夜はふたりで盛り上がっている。


「でね、でね」
「…は?まじかよ」
「いいでしょ」
「それならこっちのが…」


コソコソ話をしていて、何を話しているか分からない。

スコアブックに集中しているように見せかけているだけの俺は、二人の方をチラ見している次第である。


遊夜、スカート短すぎ。
キャミで胸、見えすぎ。

てか近すぎ。

ちょ、オイ倉持それ以上近づくんじゃねーよ。


悶々と考えながら、二人の会話には入らないところが妙に意地をはってしまう俺。


「きゃっ」


遊夜の悲鳴に驚いて思わず振り向くと、そこには倉持に馬乗りになる遊夜の姿。


「は!?お前ら何やって…」
「ゴメンつまづいちゃった」


さっきまで床に座ってた二人のどこにつまづく要素が!?
てかその体制彼氏として許せねぇんだけど!


「遊夜、ドジ過ぎ」
「ごめんって〜倉持」


倉持は自分の上に乗っかっている遊夜の腰をつかんだ。

何だそれ。エロ過ぎ。
俺のカノジョなんだけどどこ触ってんだてめぇ!


「きゃっ」


そして再びずっこけた遊夜。何故。

そのまま倉持に倒れかかる。この時点で俺のイライラはだんだんとMAXに近づいていく。


「ごめん倉持ぃー」
「大丈夫かよお前」


遊夜を立たそうと倉持が遊夜に触れたそのとき、


「あんっ」


『あんっ』!!??


「どこ触ってんのよ!」
「わりぃ!…っと」
「ひゃんっ」


明らかにエロい声を出す遊夜。ちょっと待て。もうそろそろ俺、限界


「何やってんだよお前ら!」


スコアブックを放り出し、倉持と遊夜を引きはがす。


「御幸…」
「遊夜!コケすぎ!なんつー声出してんだよ!!その声出さしていいのは俺だけなんじゃねぇのかよ!倉持!人の彼女むやみに触ってんじゃねぇよ!!ふざけんなこの野郎!!」


一気にまくし立てた俺は、二人を睨んだ。対照的に倉持と遊夜は呆然とした顔でこちらを見ている。

何だよ、俺ひとりで何か恥ずかしいじゃねーかよ。


「んじゃ俺の役目終わったな。行くわ」
「ん、アリガト倉持」
「は?」


倉持は急に立ち上がり、ヒャハ♪とか言いながら部屋を出ていってしまった。

意味が分からず、今度は俺が呆然とした。


「なに。どゆこと、遊夜」
「………」


問い掛けると遊夜は俺をじろりと睨んだ。

思わずひるむ俺。


「遊夜ちゃ…わっ!!」


いきなり遊夜に飛びつかれ、押し倒された。

何だ、コレ。



「遊夜ちゃ」
「……」


そのままキスされる。舌が入ってくる。


いつもと逆。
俺はひたすら驚いていた。


「……」
「え!?」


無言でキャミを脱ぐ遊夜。普段からは想像もつかないその大胆な行動に、思わず声がでた。

ブラ姿のまま抱き着かれ、
そして、



止まった。


「…遊夜?」
「……」
「どしたの、黙んなよ」
「………」
「遊夜ちゃーん」
「…ズルイよ」
「は?」


無言を決め込んでいた遊夜が突拍子もなく発した第一声に、驚いた。

遊夜は相変わらずのブラ姿のまま、俺の胸に顔をうずめていた。


「寂し…かったんだから」
「えっ」
「いつもスコアブックばっか見て、構ってくんなくて…だから倉持に相談したの。あたしが倉持とイチャイチャしたら構ってくれると思って…」


…なんだ、コイツ。


「あたしにほっとかれたら寂しがるくせに、あたしのことほっとかないでよ」


可愛いすぎんだろ。


「大体御幸は…っ」


説教モードに入ろうとしている遊夜の口をふさいだ。

可愛いすぎてムリ。


自分から押し倒して、キスして、舌いれて、脱いで。俺も限界なんですけど。


「御幸、あたし怒ってんだからね!!」
「うん分かってる」
「分かってない!」
「分かってる。ごめんね?」
「…っ」


遊夜を抱きしめる。愛しくて仕方ない。


「もう寂しがらせないから」
「…もし寂しくさせたら、倉持とイチャイチャするよ」
「そんな事させない」
「じゃあ、御幸とイチャイチャする」
「言ったな?」



あぁもう。
大好きだ。






悪戯好きなお姫様






(…御幸、今日激しすぎ)
(今日優しくはムリでしょ)
(毎日でもいいよ)
(…マジで)

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