アイス食べる?
御幸なんか知らない。御幸なんか嫌い。御幸なんか
「…だいすき」
泣きながら1人で呟いた。空からは夏特有の熱い日差しがさしている。日射病にかかって死んじゃえたら楽なのに…御幸なんかを好きでいなくていいのに。
あたしは御幸の彼女なのに、不満が言えない。嫌われたくない捨てられたくない。好きだから。けど御幸はあたしが何も言わないからって、いつも違う女の子といる。あたしじゃなくてもいいなら、振ればいいのに。嘘。振られたくない。矛盾してるアタシ。
「ほんとは…あたしだって御幸といたいよ!」
本音を地面に向かってぶちまけて泣き叫ぶ。あぁ、こんなところ御幸に見られたら生きていけない。
「ねぇお姉さん」
屈んで低くなっていたあたしの腕が緩く引っ張られた。だれ?
そこにいたのは、ニンマリ微笑む御幸だった。
「みゆ…きっ」
「はーい俺だよ?」
片手にもった棒アイスを食べながら、笑う。かっこいいふざけた感じの御幸が好きだった。
「あの、ごめ…」
「ねぇ遊夜ちゃん、アイス食べる?」
あたしの言葉は遮られ、急に真剣な顔をした御幸はなんだか恐くて。思わず後ろにたじろいだ。次の瞬間、頭がグンッと前につんのめって、気付けば御幸とキスしてた。
「どう?ソーダ味」
ボッと顔が赤くなる。なんてキザなことをしやがるんだコイツは。
「妬いてくれてたんだね、まあそれが目的だったんだけどね♪」
「な…なにそれ…」
「怒った?」
あたしに妬いてほしくて他の女の子といた?
「御幸」
「ん? …っおま」
「お返し」
不意打ちで御幸にキスしたら、真っ赤になった。
「御幸って結構あたしのこと好きでしょう?」
「…もうしません」
「よろしい」
(ねー遊夜ちゃん)
(なに?)
(ちゅーはいいよね?)
(…っバカ)
確かに恋だった