2011/06/05 23:05
それは世良とジーノが食後に寛いでいた時のこと。家主の経済力を表すような大型テレビに、あるキャラクターが映った。
「あ、アンパンマンだ。懐かしいなあ」
懐かしがる世良の横でジーノは眉をひそめる。
「セリー、この顔がぱんぱんに張った美しくないキャラって有名なのかい?」
「え、王子アンパンマン知らないんスか!?」
「あんぱんまん……? 食べ物なのかい? 手足がついているけど」
「アンパンマンはあんぱんで出来たヒーローなんスよ!」
「へぇ……なんというか、斬新なキャラなんだね」
「お腹を空かせた子供には自分の頭のあんぱんを食べさせてくれるんス」
「……これは子供向けのアニメなんだよね?」
「? そうっスよ?」
「そんなグロテスクなものを放送して、子供達のトラウマにはならないのかい?」
「ちょっ、どんな想像してるんスか! ちょっと頭の隅のパンをちぎってあげるだけっスよ!?」
「日本のヒーローが自己犠牲精神に溢れているのはわかるけど……頭をちぎったらいくらなんでも痛みでのたうち回らない?」
「怖っ! なんすかそれ怖っ! ていうか、アンパンマンは頭自体が取り外し出来るんで、頭をちょっとちぎったって平気なんス!」
「頭がもげるなんて……ますますグロテスクじゃないか」
「いや、だからどんな想像してんすか王子」
「彼は痛覚がないのかい?」
「え?……うーんと、多分攻撃されたら痛がってたような……」
「それじゃあ、頭をもいで平気なわけがないんじゃない? きっとあの笑顔の裏で必死に痛みに堪えているのかもしれないよ?」
「ヤメテー! そんなこと言われたら悲しくてまともに見れなくなっちゃうからヤメテー!」
「はは、日本のヒーローは健気だねえ」
……オチなどない!
アンパンマンってあまり海外の方からは受け入れられてないってテレビでやっていた気がするんですが、ハーフな王子にも適用されるんでしょうか。謎です。
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