※恋人設定 ドンッ!!! 「……シッ………カマル、くん?」 「……………」 力強く壁が叩かれた 私は驚きと戸惑いで震えた声を出す。噛みながらも彼の名前を呼べば、無言で笑い返された たまに見せる優しい笑み…の、はずだが 何故だろう、泣きたいぐらいに怖い 何も言えず黙って彼を見つめていたら、背中にどす黒いオーラが見えた、気がする。うん、私、疲れてるね 「シカマルくん…」ともう一度呼んでみたら、今度は返事が返ってきた。笑みを崩すことなく「なに?」と首を傾げる あの、ですね もしかして、その… 「………とても怒って、いらっしゃいます、か…?」 「おう、めちゃくちゃ」 うわぁぁあんっ!笑顔が、笑顔が怖いよー!! シカマルくんがここまで怒ることなど、いままであっただろうか。私の記憶にはない あまりの恐怖に、じわりと涙が溜まってきた。もう子供ではないのに泣くなんて…でも、それぐらい怖いのだから仕方ない ついにぽろりと涙がこぼれ落ちてしまった。そんな私の姿を見て、シカマルくんは楽しそうに笑う 「ななしさーん、どして泣いてんのー?」 「ど、うしてって…それは…」 「泣くほどワリィことでも、した?」 ずいっと近付いてきた顔。離れたくても背後には壁があるし、左右は彼の腕に塞がれている。逃げ場は、ないようだ どうしてこんなことになったのか いつも通りの生活をしていただけなのに… 何一つ原因がわからない中、私はあることを思い出していた そういえば、シカマルくんと付き合うことになったとき 彼にキツく抱き締められながら、言われた 『なぁななしー』 『うん?』 『おれさぁ嫉妬深いからさぁ、覚悟、しとけよ?』 『ふふふ、わかりましたー』 『笑い事じゃねぇんだけど…まぁ、いいか とりあえず、ななしが好き過ぎて頭おかしくなっちまってるってことは知っといてくれ』 『シカマルくん、さらりと恥ずかしいことを言ったね』 『うるせー、好きなんだよチクショー』 『シカマルくん、なんかキャラが違うよ』 『あーもー、幸せすぎて死にそう。ななしがおれの奥さんとか、正常でいれるわけねぇー』 『シカマルくん、お願いだから帰ってきて』 「なぁななし、どんな悪いこと、した…?」 「…………っ、」 そうだ。あのとき彼は、自分は嫉妬深い、そう言っていた 何がいけなかったのかはわからないが、私の行動に原因があると考えていいのだろう。謝りたいけど、何を謝れば… …うーん、とりあえず ぽんっ 「……………」 「……………」 …なでなで 「……………」 「、ごめんね」 「…………………何が悪いか、わかってんの?」 「ううん。でも私が悪いんだよね?」 「………わかってねぇのに謝んの?」 「わかってないから謝るの」 「…………………」 むぎゅうっ 「うわわっ」 「ななしの、ぶわぁか」 「ちょ、酷いな」 「でもかわいいから許す」 「え?あ、うん。ありがとう?」 笑顔で怒るシカマルくんの頭を撫でてあげれば、ふにゃりと表情が崩れた そして力強く抱き締められた なんかよくわかんないけど、 「ねぇシカマルくん、どうして怒ってたの?」 「忘れた」 「…………壁にヒビが入るぐらい怒ってたのに?」 「おう、もう忘れちまった」 …………まぁ、いいか 「ななしー、ぎゅー」 「はいはい、ぎゅー」 忘れる
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