「シカマルくーん」

「おー?」

「…いい天気だねー」

「…おー」

「…シカマルくーん、」

「…おー?」



「ここは、どこだろうねぇ…」

「おぉ…」


まったくわかんねー


目の前を行き交う人々を、ななしと肩を並べながら一緒に見つめる


目の前に広がる光景は、おれらが住み慣れた木ノ葉とは異なる町並み

適当に町の人を捕まえ、一つだけ尋ねた


「木ノ葉の里?んなとこ知らないなぁ…」

「あ、そうですか」

「なに?お嬢さん困ってるの?だったらおれが、」

「はい、ドォーン!!」

「がふっ!?」

「ちょ…っ!!?」





…………つーわけで、おれが出した結論は


ここはおれらがいた所とは別の、世界





…………いやいやいや、ふざけんなっつーの

めんどくせぇんだよチクショー


普通じゃあり得ない出来事に頭を痛め、隣のななしに寄り掛かった

優しく撫でてくれる彼女の手に、情けないが甘える。マジ癒し、ななしがいてホンットよかったー


きっと今おれの顔はだらしないぐらい緩んでる。オイコラそこの通行人、見せ物じゃねーぞ





「まず情報を集めて、帰り方探して……これからどうなるかわからないけど、とりあえず行動は起こさないとだね…」

「…だな」


ななしが静かに言った。不安なのだろう、おれを撫でる手が止まっている。嫌だ、まだ撫でて下さい。ちょいちょいと袖を引けば、また手を動かしてくれた


「……急に甘えん坊になったね、シカマルくん」


ななしが可愛いせいだし





「今日はどうしよっか」

「んー?」

「ほら、寝れるところ探さなきゃ」

「あぁ…」

「宿とかあってもお金がないし………うーん、やっぱ野宿、なのかなぁ」





これから、

家…


生活……?


半開きの目がカッと見開いた。ななしに寄り掛かっていた体も起こして、背筋を伸ばした





「シ、カマルくん?」

「…………そうか」

「えっ?」

「そうだよな、」

「な、何かわかったの!?」


訳のわからない所に連れてこられて

もとに戻る方法もわからない


もとに戻れるかも、わからない



何もわからないが、とりあえず生きていかなければならない


そう、ななしと一緒に生きていく。一緒に





暮らして、いく


「ななし、家を探そう」

「え、あ、まぁ…」

「生活用品も買い揃えて……あぁ、仕事も探すか」

「う、え、ぁ…お?」



「大丈夫だななし、おれたちならこの世界でも生きていける。暮らしていけるっ!」

「流石にそれは前向き過ぎやしないかい!?」


例え戻れなくてもななしがいりゃあ、それでいい!!


「おれを信じろ!」

「信じる、けど…」

「ななしっ」

「うわぁ…!?」


眉をハの字にし、こちらを見上げてくるななしを抱き締めた

これからななしと、二人で協力し合いながら、暮らしていく


これはもう夫婦だろ?

新婚生活の始まりだろ?


………ちょ、どーしよ!これからが楽しみすぎるんだけど!



何でこうなったか知らねぇが、ここに連れてきてくれてありがとう…!!


「ななしー!好きだぁ…ッ!!」

「シカマルくん!一回落ち着こうか!!」





ときめく