一度目は、つぼみが働いてる店で

二度目は、わざわざ隣町にまできて


じゃあ三度目は?





…………三度目なんて、ねーし





「見っけた」

「ん?…あ、シカマルくんだ」

「うげ、デコっぱち、もう来たの?」


ゴミも綺麗に片付け、大好きな彼女を探す。時間をかけることなく直ぐに見つけ、他のやつらとベンチに仲良く座る彼女の前に立った


近くでいののやつが何か言ったが、そんなん無視だ無視


「どこいってたの?」と尋ねてくるつぼみの質問に笑顔で「ホウキでちょっとな」と答えた。この答えにさらに疑問を抱くつぼみ。次の質問が来る前に、シカマルは手を出すよう言った


「………手?」

「ん、」

「えーと…はい、手」


色白でも色黒でもない、健康的な肌の色。小さくて、柔らかくて、ずっと握っていたくなる


差し出された手を少しの間黙って握り、微かに口許を上げた





なぁ、つぼみ。おれ考えたんだ

なんで今回みたいに、あんな野郎がつぼみに近付いてきたのか、ってよ


理由は簡単、つぼみはかわいいもんな



じゃあ、そんなゴミ供を近付けさせねぇためにはどうしたらいいか


これも簡単、



「つぼみー、これ、やるよ」

「ん?」






例えまだ、つぼみがそのつもりじゃなくても

こーやって、


「……………えー、と、シカマルくん?」

「遠慮すんなよ?」

「いや、遠慮じゃなくてね…」


形だけでも





「デコお前ぇぇぇえ!!!」

「わりぃなー、こういう贈り物は男がするもんだからよぉ」

「ふざけんなー!!」











「………えと、その、あの…せ、先生、これって」

「あー…まぁ、とりあえず受け取ってやれ。日頃世話になってるお礼のつもりなんじゃねーか?」

「お礼、?お礼でそんな、これをここに…?」


シカマルから渡されたものを戸惑いながらつぼみは見つめる。まだアイスが残っているからといってこちらの手を出したのがいけなかったのだろう

助けを求め、見つめてくる彼女の視線を感じながら、アスマは立って揉める二人の教え子に視線を固定した


そんな周りの様子にもう一人の教え子が首を傾げる


「つぼみさん、なんでそわそわしてるの?」

「えっ!?いや、だって…」

「そこに付けちゃダメなの?それって」

「ダメって言うか…」

「…チョウジ、お前知らねぇのか?」

「え?」



「……………あー、そうか」


男の子って、こういうことはまだわかんないのか


彼の突然の行動に焦ったつぼみだったが、相手がただ知らなかっただけだとわかり、冷静さを取り戻した

そしてもう一度、渡されたものを、今度は落ち着いて見つめた





「…ふふっ、ありがとう、シカマルくん」

「……おー」


いつも通りの笑みを向けるつぼみにシカマルは、ここまでやったが…やっぱ伝わんねーか、と思い、返事を返した



いいさ、長期戦だってのは、大分前に覚悟してる


つぼみ、おれはお前しか、いらねーんだから





覚悟、しとけよ?


ニヤリでもギロリでもない、彼女にだけ見せる優しい笑み


つぼみの小さな左手薬指には、今さっきシカマルが上げたばかりの、キラリと銀色に輝く指輪があった



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