リストに載っている物を全て買い終えた。買い出しを頼まれると、持たされるお金は毎回ピッタリ。少しのお釣りも残らない しかし今回は、財布が空にならなかった 「よし、これで終わりっと…ズンダくん、帰ろうか」 「え、あ…」 偶々か?ババァのミスか?それとも、 「…ズンダくん?」 「………っだぁぁぁああ!!!」 「!?」 そういうことかよクソババー!!! 今まで何度も経験した感覚。顔に集まる熱の、感覚 頭を掻きむしりながら、驚き目を丸くする彼女に視線を向ける。また、身体が熱くなった 「お、おい!!」 「は、はい!?」 大きな声で呼べば、大きな声で返事を返してくれた。ズンダはつぼみに荷持ちを預け、近くのベンチに強引に座らせる 「いいか!?ここで待ってろよ!?」 「えっ、まだ何か買うものが…」 「いいから待ってろよ!!!?」 「はいぃぃ!!!」 ど、どうして怒ってるの…!? 驚きと少しの恐怖から、瞳に涙が溜まってきた。とりあえず彼の言葉に従うことにして、首を縦に振った。それに彼は「よし、」と呟き、どこかへ走り出してしまった ………トイレ、かなぁ 買った物を抱えなおし、ボケーッと空を眺めることにしたつぼみ。慌てず、のんびり、ゆっくり待とう 「………ふわぁ、」 「良い天気ねー、つぼみさん」 「ねー」 「あの雲おいしそう!ソフトクリームみたい」 「おぉ、本当だ」 「つぼみさん食べたい?」 「うーん…そうだねぇ、久々に食べるのもいいかも」 「じゃあ私買ってくる!」 「ボクも!!」 「あははー、気をつけるんだよぉー」 「「はぁーい!」」 うーん、元気はいいことだ! うん …うん ………うん? 「何故いのちゃんとチョウジくんが…?」 「そこは深く聞かんでやってくれ」 「うわぁあ!?アスマ先生まで!?」 あまりにも普通に話しかけられてしまったため、いつも通りの対応をしてしまった。いやいやいや、どうして皆がここに? 疑問を口に出せば、これまたいつの間にいたのか、アスマ先生が隣に座っていた 深くって… あ、そうか。任務か 確かに一般人に任務の内容を教えるのは良いことではないだろう。納得した私は、遠くでアイスの味を選んでいる二人の背中を眺めた 「任務ですか、大変ですねー」 「いや、ミッションらしい」 「…ミ、?」 「ちなみにおれのミッションは失敗した」 「…???」 肺全ての酸素を吐き出す勢いでため息をつくアスマ そんな彼に首を傾げるも、アイス片手に帰ってきた二人に、疑問を抱く前に話題を切り替えられてしまった 手渡された抹茶のソフトクリームを、ペロリとひと舐め。「そういえば、」つぼみは視線をソフトクリームに固定したまま、三人に聞く 「シカマルくんがいないけど、彼はどこに?」 任務なら彼もいるよね……って、ぅわあ、アイス溶けてきた! 舐めるだけでは間に合わず、はぐっとかぶり付く。既に手に垂れてしまった場所は仕方なく舐めとる 「お前さん、食うの遅いな。チョウジを見習え」 「そ、そう言われましても……で、シカマルくんは、」 「つぼみさんまだ半分も食べてないの?チョウジはもう五個目よ?」 「早いなチョウジくん!ていうかそんなに買ってきてたの!?………で、シカマ、」 「つぼみさん!そこ垂れてる!」 「うわぁぁあ…!」 「やだもー!つぼみさんかわいいー!」 「いや、あの、垂れ…じゃなくて、シカマルくんはどこっ…うわ、垂れる…っ!」 「ほれ、急げ急げー」 シカマルくんは、どこ? 彼女の当然のこの疑問。しかし三人は答えたくないのか、それともシカマルのことなどどうでもいいのか、またはアイスに夢中なのか…とりあえず誰も彼女の問いに答えるつもりはないようだ どこにいるかなんて、決まってるじゃねぇか アスマは、慌ててアイスを頬張るつぼみを見て、そして空を仰いだ |