「ただいまぁ」といつも通りに玄関の戸を開けようとした、ら、戸が一人でに開いた。驚いて目をパチパチさせていると、開いた戸の向こうにはつぼみと同じように目をパチパチさせている彼女の父がいた お互いが数秒無言で見つめあったあと、父のサンは娘を抱き上げホッと息を吐く 「よ、よかったぁー!」 あんまり遅いんで、何かあったのかと思っちゃったよ! 無事で安心!そう言って笑う父に、つぼみは心配をかけていたことを理解。確かに今日はいつもより帰りが遅くなってしまった 素直に「ごめんなさい」と言えば、豪快な笑い声と一緒に「次からは気を付けろよ!」との言葉をいただいた はい、次はもうないようにします 「…ところで、だ」 地面に下ろしてもらい、自宅に足を踏み入れる。するとまだ何かあるらしい父は、外を見つめながら首を傾げた。その様子に、つぼみも首を傾げた。どうか、したの? 「いやー、今日はシカマルくんとかくれんぼでもしてるのかなぁって思って…」 「え?」 かくれんぼ? 私とシカマルくんが? えぇ? そんなはずはない。かくれんぼどころか、今日はまだ彼には出会っていないのだから。父が何故そのようなことを言ったのかがわからない私は、その場で固まる 「んーん、シカマルくんと遊ぶ約束してないよ」 「うぅん?そうなの?」 つぼみの返事にサンは、更に首を傾げ「じゃあ、そこに隠れている君は誰だーい?」と尋ねだした。えっ、そこってどこですか? サンの言葉に反応したのか、ひょこりと何かが物陰から出てきた。不安そうにこちらの様子を伺うそれに、つぼみは「あっ!」と声を上げた 「知り合い?」 ……いや、知り合いというか、なんというか 「……さっきのぼくじゃないか」 「……ッ」 あ、隠れちゃった 声をかければ物陰に隠れ、またしばらくすると恐る恐る顔を出す。そしてまた隠れ、を繰り返すその子は、先程別れたであろう男の子だった。もしかして、さっきのとこから付いてきちゃったのかなぁ ひょこひょこと隠れたり出てきたりするその男の子に、つぼみはどうしたらいいのかわからず隣の父を見上げた。娘のヘルプに、サンはにぱっ!と笑い、男の子のそばに近寄る 「やぁ少年、どうした?」 「!!!」 ちなみに、一瞬で ………って、いやいやお父さん。それ怖いから。びっくりしちゃうから! ほら、男の子尻餅ついちゃったから! あーあ、とため息をつくつぼみを背にサンは男の子と向き合った。そして目を丸くする 「きみ、は…」 「ッ!!」 「あ、」 サンの呟きに反応をした彼は、直ぐ様逃げようと立ち上がる。しかし短い二本の足で走り去る前に、ガシッとサンがその子の肩を掴んだ。すまんなぁ、少年。条件反射だ 「は、離せー!」 「つぼみつぼみ、この少年はお友達か?」 「へ?」 「ぅわぁ!!」 脇に手をいれ、グッと持ち上げ少年を娘に見せる。おれの行動に驚いた少年は足をばたつかせ抵抗をし、つぼみはぽかんとしている どうやら友達、というわけではないらしい ゆっくりと首を横に振った娘に、サンは「そうか、」と小さく呟いた 二人のやり取りに、抱き上げられている少年は動かしていた足を止める。そして瞳に少しずつ溜まる涙を、気付かれないように顔をうつむかせて隠した 「………友達じゃ、ないけど」 「……けど?」 仲良くなれたら、嬉しいよね 「…………そうか、」 娘の答えにサンは優しく笑った。少年はうつむかせていた顔を勢いよく上げた。その勢いで、彼の瞳に溜まっていた涙がポロリとこぼれた それにつぼみは声をあげる 「お父さん!男の子が泣いちゃったじゃない」 「えぇっ!?おれが悪いのか!?す、すまん少年っ!!」 「……………、」 「とりあえず下ろしてあげて」 「あぁ…………あ、」 そうだ。なにか思い付いたのか、サンは男の子を地面に下ろし、上から覗き込むように目線を合わせた。そしてニカッと輝かしい笑顔を向ける 「少年!焼きそばは好きか!?」 突然の誘い。この誘いに男の子は口をぽかんと開けた 「………え、」 「今日の昼はな、おれが作ることになってるんだ。だからお詫びにおれ特製の焼きそばを食わしてあげよう!!」 「え、お父さんが作るの?」 「なんだ、ダメか?」 「ダメではない、けど…」 お父さんの料理って、基本的に味付けが濃いからなぁ… 「さぁ少年!どうする?」 「………………………お、おれ。おれ、」 おれなんかが、一緒でもいいの? 小さな小さな、とても小さな声。その声をしっかりと受け取った草花親子はそっくりの笑顔を浮かべ 「「もちろん!」」 男の子の小さな手を引いて、家に招き入れた これが、草花一家とうずまきナルトの出会いだった (なんか、あったけー人たちだなぁ…) |