今日の天気は晴れ。お仕事もなし、そして 「姉ちゃん!」 「はいはい、今行くよー」 弟のヒマワリもアカデミーがお休みである。今朝、まだ布団で寝ているところに「姉ちゃぁあん!!今日一日一緒だぜぇぇえ!!!」とダイブされた。腹からのダイブに女とは思えない声が出たことは、記憶から消したいと思います 「遊んであげたいけど、買い物とかしなきゃなの。お友達と遊んで、」 「おれも買い物手伝うっ」 まぁ、なんていい子なのでしょう 思わず高い高いをしてしまえば「も、もう子供じゃねぇよ!」とヒマくんが抱き付いてきた。言ってることとやってることが矛盾してるよ、ヒマくん 私たち姉弟はとても仲良し。ヒマくんは父と同じ、忍を目指しているアカデミー生。成績も優秀だそうで、自慢の弟です! とても頼りになります 「荷物はおれが持つから!」 「うん、ありがとう」 気遣いだって満点。弟よ、君は将来モテ男になるぞ。絶対なるぞ 癖っ毛の彼の髪を撫でてやれば、ふにゃりと母のような笑みをこぼした。父親似の弟が持つ、母親の遺伝子だ 「………!」 「…ん?どうかした?」 つぼみは飽きずにヒマワリの髪を撫で続けていると、何かに反応したのか彼が辺りをキョロキョロし出した そして探しているモノが見つかったらしく、目をカッ!と開いた 「シカ兄ぃたちだ!!」 そう叫び走り出していく弟。その先には本当にシカマルたちがいた 嬉しそうに駆け出した弟の後ろ姿を楽しそうに笑い、見守るつぼみ ヒマくんとシカマルくんたちも仲良しなんだよねぇ いやぁ、見てるだけで癒されるよ! シカマルに飛び付いた弟。血は繋がっていないが、その様子は本当の兄弟のようだった つぼみもゆっくりと彼らのもとへ足を運ぶ しかし彼女は知らなかった。二人がお互いをどう思っているかなんて 仲良さそうに話す二人と距離がある彼女に、シカマルたちの会話は届かない。だから二人のやり取りも、わからない 幼なじみと弟が 「よぉ、デコハゲ、今日も生きてたのか。早くくたばってくんねぇかなぁ?」 「おぉ悪いな、おれはいつでも元気もりもりなんだよ」 「じゃあせめて姉ちゃんに嫌われてこいや」 「残念だったな、おれとつぼみは相思相愛なもんで」 「寝言は寝て言えバーカ」 「将来的にはテメェの兄だぜタコ助」 「んなの認めるかアホ野郎」 こんなドス黒い会話をしているなんて 「……………なあに、これ」 凄く爽やかな笑顔で、なんつーガキくさい喧嘩してるのこの二人 突然現れ、班員と絡み出したチビッコにアスマはタバコを落とした。この状況に慣れているのか、いのとチョウジは慌てることなくアスマに説明をする 「シカマルとヒマワリのつぼみさん争奪戦だよ」 「いや、誰なの。あの鹿に楯突く勇気あるこの子供さんは」 「つぼみさんの弟」 なるほど、だからシカマルはあんなにも殺気むき出しなのか そんで弟くんもつぼみラブなのか 今なお笑顔で揉める二人。音声さえなければ、とても仲良しに見える 「姉ちゃんは一生お嫁になんか行きませんー」 「いいや、おれんところに嫁いでくるから。絶対嫁がせますから」 「姉ちゃんの老後もおれが世話するんでご安心ください」 「ねーよ」 だからなんでつぼみの意思を尊重しないの、君たちは やれやれと新たなタバコを出す。このやり取りに慣れてるんだったらお前ら止めてくれ、そうアスマが口にし、横を向いたら誰もいなかった おかしいな、いのとチョウジはどこに 「ちょっと!結婚は女の夢なのよ!?それをさせないなんて…最低!!」 「そうだそうだ。いの、もっと言ってや、」 「その相手がデコマルってのもあり得ないけど」 「んだとコラァ!!」 「ぶはははは!そりゃそうだ!テメェに姉ちゃんは勿体ねぇんだよ!!」 「でもシスコン弟と一生暮らすのもやだよね」 「んなっ!!?」 「「そーだそーだ」」 「…ッぅる、せー!!テメェら馬鹿トリオより増しだ!!」 「ん、だ、とぉ…!?」 「……………、」 いかーん、もうおれじゃどうしようもできーん 鹿VS弟ではなく、猪鹿蝶VS弟だった。シカマルといのの口の悪さには慣れているが、珍しくチョウジも毒突いている。とてもこわーい 口では収まらず、ついに手までが出そうになったそのとき 「み、みんな…なんで喧嘩してるのっ?」 四人の動きが止まった。綺麗に止まった そうか、これが鶴の一声ってやつか ゆっくりとこちらに歩いてきたつぼみは、眉を下げながら尋ねてくる アスマは「つぼみをめぐって喧嘩らしいぞ」と本当のことを伝えようとした ら、足先に激痛が走った 「喧嘩なんかするわけねぇじゃん!姉ちゃん何言ってんだよー!」 「え?でも今…」 「だいたいこんなかわいい男の子と喧嘩なんて、ねぇ!」 「いの姉ちゃんも綺麗だよっ!」 「おほほほほ!わかってるじゃない!」 「………ね!ボクたち仲良し」 「で、でも今怒鳴りあって…」 「あれも修行の一つなんだよ」 「あ、そうなの?」 いやいやいや、どんな修行? ていうか、おい。弟くんにいの、お前らの会話真っ黒すぎて怖いから じんじんするアスマの右爪先。つぼみに全力で仲良しアピールをしているこの四人の内の誰かに踏まれたようだ 自分の勘違いだったのか、そう安心したつぼみは「変なこと言ってごめんね」と謝っている。ダメだつぼみ、騙されてはいけない しかしアスマは口にできなかった。忍だってな、痛いのは嫌なんだよ 「あれ?アスマ先生、そんなところに座り込んでいったい…具合悪いんですか?」 「い、いや…大丈夫」 「そーそー、ただの水虫だよな」 「ざけんなよデコ」 そうか、踏んだのはやっぱテメェだったか 何ともないと伝え立ち上がる。すると一つの視線を感じた。その視線の先にはつぼみ の、横にいる弟くんが 何故だろう、あんまりいい予感がしない つぼみは用事があるらしいし、おれたちも任務があるためここらで別れる 名残惜しそうにするいのとチョウジを隣に、そして任務をほっぽりだそうとする馬鹿を力ずくで引きずりながらつぼみに「またな」と声をかけた 「はい、また。みんなもがんばってね」 そう頭を下げ弟の手を引く彼女。姉よりも低い位置にある頭をこちらに向け、弟はかわいらしい笑顔を向けた 「ばい、ばーい」 ブスとデブとオッサンと、よくわからない生ゴミさん 無邪気な笑顔でそのまま立ち去ったつぼみの弟 彼の去り際の言葉に無表情になる第十班 「「「「………………」」」」 無言のまま立ち尽くす四人 ブチ、いのの額に青筋が出来た ぐしゃり、チョウジは手の中の菓子の袋を握り潰した ぺきり、アスマはタバコを折った 「ぐぼはぁ…!?」、シカマルはとりあえず横のアスマを蹴り飛ばした 「ちくしょー!あのガキ、つぼみさんの弟だからって!!」 「ボクはデブじゃない!ぽっちゃり系だぁ!!」 「生ゴミってなんだよ生ゴミって…せめて特徴捉えて言えやクソガキィィ…!!」 いの、チョウジ 今日中に絶対復讐すんぞ!! おぉ!! あったり前よ!! 猪鹿蝶トリオのチームワークが更に高まった瞬間だった 「………ちょ、ま、」 おかしい、って。なんでおれ蹴り飛ばされたんだよ 一緒に腹立ててたじゃねぇか! もうおれをオチに持ってくんの止めてくんねぇかなぁ!?先生体もたねぇからさぁ!! (姉ちゃんに近づく野郎は皆敵!) |