ふっ、母乳を飲んでいたことがまるで昨日のようだ…


幼少の頃とは時間の流れが遅く感じるものだが、中身が既に成人を迎えてしまっているつぼみは違った

この謎の世界に産まれて早2年、つぼみは慣れた。いろいろと


「つぼみちゃん、今日のお夕飯は豪華にするからねー」

「かーしゃ、とーしゃ帰ってくるの?」

「そうよー」


縁側でぽけーっとしているところにあの綺麗な母親がるんるんでやって来た。ちなみに名前はオハナさんと言う

……オハナ?お鼻?…お花?昔頭を傾げたつぼみだが、多分「お花」の方だと理解した。何故なら彼女の周りは常に花が飛んでいる

ように見える


………つまりそのぐらいのんびりしてるって訳なんだけどね

って、あぁ!また転んだ!!


何故か顔面から転ぶ第二の母。確かに彼女の雰囲気には癒し効果があるが、こののんびりさで死にかけたことがある

ぶっちゃけつぼみ以外だったら死んでいたかもしれない


そんな母親のもとに駆け寄ろうとしたら玄関の方から物凄い音が





「オハナー!つぼみー!帰ったぞー!」


父だ。イケメンである第二の父親だ

太陽サンサン、爽やか三組。そんな笑顔の今の父さん

その様子の通り名前もサンと言う


花に太陽、相性はいいんじゃない?だって二人はラブラブだし。ラブラブはいいんだよ?仲良きことはさ

でもね


「ただいまー…って、オハナ!また転んだべぶっ!!」

「……………」


もうなんなのあなたたち。びたーん!とこちらも顔面から倒れた。勢いはこちらの方があったらしく、痛そうに震えている


父さん、そんなんじゃ心配だよ。だって父さんし「あら、アナタおかえりー」のんきだね母さん

母のほわほわした声にガバッと起き上がった父さん

そして母さんに勢いよく抱き付いた





「まったく、心配かけてー!」

「大丈夫よー、つぼみちゃんもいるし。それよりもアナタの方が心配よー、怪我はない?」

「あぁ!無傷だよ!」


まさにバカップル。……うん、仲良しはいいと思います。ただ、前世含め彼氏のいない私には辛いものがあります


ハートを飛ばしながらイチャイチャする二人を背に、テーブルを拭く

どこか抜けている我が両親は、このあと直ぐに転ぶだろうが…まぁ、大丈夫だろう





草花つぼみ、約二歳。美男美女の両親の元に生まれ変わるも、大変苦労しております

こんな両親じゃなければ平穏な第二の人生が送れたかな、と思ったことはありますが


「アナタ、買い物に行きたいんだけど…」

「そうか!ならおれが行ってくるよ



影分身で」


前生きていた世界とは違うようなので、平穏はどっちにしろ無理だったと思います。というかあんな父さん忍者とかどういうこと?





(それよりも二歳児に世話される大人ってどーよ)



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