「おやじ、」 夕飯も食い終わり、歯磨きをしているとシカマルがてこてこやってきた 昼間、彼女がいたときと違い少しダルそうな目をしている。いや、昼間のシカマルがおかしいのであって、こいつはいつもこんな感じだ シカクは歯磨き中で喋れないため、視線で「どうした?」と聞く 「あのよ、」 明日から、修行してくれ 抑揚のない声。うん、これがいつものシカマルだ。しかし言ってる内容がわからん。は?修行だと? 驚きのあまり口から泡がだらーっとこぼれる 「きたねぇ」 テメェのせいだよ うがいをし、タオルで口元を拭く。念のため聞き返してみたが、聞き間違えではなかった。どうしたのだ、息子よ 「……おやじはさ、目の前に邪魔もんがあったら片付けるだろ?」 「あ、あぁ」 「それといっしょ」 なにがだよ。息子の言いたいことがわからず眉をひそめる 本当にこいつはおれの息子なのかっていうか、こいつは子供なのか? にぃ、と笑うシカマルに子供らしさの欠片もない とりあえず断る理由もなかったので修行の話は引き受けた。しかし、すぐに後悔することになる 「んじゃあ、明日からよろしく頼む」 男らしいな、子供らしさはねぇが 瞳も殺気に満ち溢れ…………………ぇ? 『……おやじはさ、目の前に邪魔もんがあったら片付けるだろ? …それといっしょ』 「………………、」 まさか、お前… まだ産まれてもねぇ野郎相手に…? サッと青ざめるシカク。答えを聞こうにも、己の息子はもういなかった 次の日の朝、奈良家の庭にはテンションの低い父親と、忍としての才能をめきめきと発揮させていく息子の姿があった |