「お前らを中忍試験に推薦した。……あ、嘘。もうエントリーしたから、行かねぇとダメだから」


はい、それこそ嘘だな

髭むしるぞ








まだ太陽が天辺にいっていない時間。こんな時間にのんびりと出来るのは久々だ。ホント、忍ってめんどくせー


甘味屋に座りぼけーっとするシカマル、チョウジ、いのの三人。いつもならここでつぼみが働いているのだが、残念、今日はいないようだ。


店員が営業用の笑顔で頼んだ団子をテーブルに置く。そこには既に三枚の紙が並べて置いてあった


「ごゆっくり」そう言って離れていく店員。品物は届いたのに三人はぴくりとも動かない





「………どーするよ」

「どうって、ねぇ」

「…うん、」


志願書、そう書かれた紙が憎たらしい。ようやく動いたシカマルはすっかり冷めてしまったお茶をすすった


今日の朝、アスマの野郎がエントリーしただのなんだの言ってたが…

これ、やんなくてもいいんだろ?本当は


でもおれたちの性格を知ってるあいつは強制的に参加させる気だ。ハッ、おれらの考え、よくわかってんじゃねぇか


考え、それはつまりルーキー班の一つである第十班のシカマルたちが今回の試験を受けないつもりでいたこと

あくまでアスマがしたのは推薦。なのでしたくないのなら辞退することも可能である

アスマ自身も本人たちの意見を尊重したかったのだが





試験中つぼみに会えねぇじゃん。んなの無理

ぜってぇやらねぇ


…とか言って一生やらないかもしれない。生意気なちょんまげを思い浮かべながら拳を作った。握っていたタバコの箱がグシャ、と潰れた


そんなアスマの読みはバッチリ当たっており、例のちょんまげ野郎は早速渡された紙で折り紙をしようとしている。試験なんざやってらんねーよ


「久々にヒコーキでも折るか」なんて、長方形の紙を半分に折り、広げる。遠く彼方まで飛ばす気満々のため、慎重に折っていく。さーて、どこまで飛ぶかな



その様子を二人は黙って見守るだけ、



かと思いきや





「…………あ!!ストップ!!」


べしゃっ


「………………」


突然立ち上がったいの。不快な音をたてながらシカマルのデコに当たったものは、そのまま彼の服へと落下する


「いの、どうしたの?」

「………………、」

「私、大事なことを…!」

「………おい」

「大事なこと?」

「……………………」

「そうよ!この試験、私たち以外もやるんでしょ?ということは…」

「…あー、なるほど」

「……おーい」



「サスケくんも試験に出るわよね!?」

「おいテメェ、待てっつてんだよコラ」


目をらんらんと輝かせ、手を合わせるいの。そんないのにチョウジは「きっと出るだろうね」と答える

こうしちゃいられない、先ほどまで試験に出る気配すらなかったいのは、貰った用紙に必要事項を記入していく


目の前の青筋をたてているシカマルを無視して





もうなんなのこの女。人様の額に団子投げつけやがって

マジ女じゃなかったらぶっ飛ばし「シカマル、これ布巾」チョウジありがとう


視線で人が殺せるのでは、それぐらい鋭い瞳でいのを睨むも彼女には一切効果がない。気付くと自分の含め全員分の用紙の記入が終わっていて


「さぁて!私たちもがんばるわよー!!」

「はぁ!?マジかよ!?めんどくせーからパスッ!」

「ほほほ、あんたらの拒否権なんて最初からないわ」


ぶっ殺す。女とか、そんなもん関係ねぇ


仕返しにこちらも団子を投げ返してやろうか、テーブルに置かれているみたらしに手を伸ばした

しかしガッと直ぐに掴まれる


「シカマル、」

「チョウ…」





さっきいのが投げたのは、いのの団子


でも、そのシカマルが掴んだのは

ボクの団子、なんだけど








「…………わりぃ」


親友の瞳がギラリと光った。鬼の形相だ、めっちゃこえぇ

久しぶりに全身の毛が逆立った。直角に頭を下げ、全力で謝る。ちなみに先ほど団子を投げたいのも謝っていた。悪かった、マジで悪かった!





「食べ物、粗末にしちゃダメだよ」

「「本当にすみませんでした」」



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