この世には許されることと許されないことがある

私が今している行為は許されないことだ





「ごめんくださ…あら、つぼみちゃんかわいいじゃない」


サッと開けられた襖。誰にも会いたくなかったつぼみは、彼女の突然の訪問を恨んだ(ていうか、)


うわああああああ

見られたああああああ


手鏡片手に部屋の隅で体育座りをしていたら、何故か我が家にヨシノさんが来た。そういやお母さんと仲良しになったんだっけ





…………………………………………ちょっと待って

ここにヨシノさんがいるってことはだよ?


もしかしなくても、


「つぼみ、」


やっぱりシカマルくんもいたああああああ

うわあああああああああ……



…………………はぁ





「……恥ずかしい、」

「何が?」


こてんと首を傾げるシカマルくん。とても可愛いのだが、それでは癒しきれないぐらいのダメージをつぼみは受けてしまっている。お願い、ちょいとお姉さんを放っておいて…


「つぼみ…?」

「………………」

「…つぼみ」

「…………………」

「…つぼみ…つぼみ、つぼみっ」



「……………っ」


くそう!こんなの無視できないよ!


一向にこちらを見ないつぼみにシカマルは眉を下げながら何度も名前を呼ぶ


その悲し気な声につぼみは静かに振り向いた。そのときつぼみの髪がサラリと揺れる


「まったくもう、かわいいのに何で恥ずかしがるのよー」

「かーしゃ、」


つぼみがこうなった原因であるオハナがニコニコと笑いながらやってきた。つぼみがむっと睨むも、彼女の方は既にヨシノと話しておりそれに気づかない


ようやくこちらを向いたつぼみに飛び込むシカマル。とても嬉しそうだ

彼を受け止めたつぼみは、自分の頭を触り、ため息をつく


可愛かろうがなかろうが、私にとっては許せないの

可愛い子供がやるならまだしも、私はもう2X歳の大人。容姿だって一般的


そんな女が、ツインテールをするなんて!


恐ろしくてもう人前に出れない!と嘆くつぼみだが、今彼女はそのツインテールが許される子供であることを、本人は忘れている。そのぐらいショックが大きいようだ


そりゃさ、そりゃあさ

最近髪が伸びてきたなぁ、とは思ってたよ


でもまさか

ツインテールとは、さぁ…思わないじゃないか…


つぼみは二度目のため息をつきながら「シカマルくんなら、かわいいのに…」と呟く

するとかわいいお目めがこちらを向いた





「ぜったい、いや」


おうふ…、笑顔で断られてしまった


そ、そりゃそうか。男の子だもんね


「ごめんごめん」と謝り、シカマルを膝に乗せる。ふむ、重くなった重くなった。しっかりと成長してるようでお姉さん嬉しいよ


二人の母親が楽しげに会話する様子を眺めながら、つぼみはシカマルの頭に顎を置く。ちくちくと首に刺さる彼のちょんまげにふと思った


はぁーあ、お母さんもどうせ縛るなら


「シカマルくんみたいに縛ってくれればいいのに」


高いところで一本縛り、つまりポニーテールにしてくれれば、私もこんなうじうじしなかっただろう


心の中で文句を言いながらつぼみは「今日はなにしてあしょぼっかー」と聞いた

この問いにいつもなら「一緒にお昼寝」や「つぼみがいればなんでも」という返事が返ってくるのだが…今回腕の中にいる彼の返事がない


不思議に思い横から顔を覗いてみると





「…………、」

「シカマル、くーん?」


下唇を噛みながら、プルプルと震えていた


初めて見る彼の反応に体調が悪いのか聞いてみても、首を横に振るだけだった。困り果てたつぼみは近くにいる彼の母親に助けを求める

いつから見ていたのか、ヨシノたちはそんな二人を微笑ましげに見ていた


「よかったわね、シカマルー」

「ふふふ…つぼみちゃん、明日は一本縛りにしましょうか」


まじっすか

やったーい、ツインテールじゃないぞー



…………じゃなくって!


「娘をよろしくお願いしますー」「あら、いいの?」「えぇ、シカマルくんなら私も嬉しいわー」なんて会話を繰り広げる母親二人

焦っているつぼみには彼女らの会話の意味を理解することはできなかった


どうしよう、


現状を解決する策が見つからないつぼみ。とりあえず彼女にできることは、うつ向きプルプル震えるシカマルに声をかけ続けることだけだった


だ、誰か説明プリーズ…





(…あぁもう!なにもかもこのツインテールが悪いんだっ)


※ツインテールがだめ、というのはあくまでヒロインの感覚です。ネタとして受け取ってください



戻る


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -