あぁ、タバコがおいしい 空を見上げ、フッと口元を緩めた。背後から聞こえる破壊音は無視だ、全部無視 今日の任務は早く終わる、そう思いまた煙を口に含んだアスマ。その煙を吐こうとしたとき、前方の草むらが揺れる そこから飛び出てきたのは がさっ 「………オッサン、何やってんだ?」 「お……」 ……っさん、だと? アスマの崩壊しかけているハートにナイフが突き刺さった。限界点を越えた瞬間である 突き刺した人物、後方で暴れる三人の同期であるキバは突然泣き出したアスマに後ずさり、担当上忍の名を呼んだ 「く、紅先生!変なオッサンが!熊が!」 「ちょっとキバ、あなた何言って………って、あら?アスマじゃない」 あぁ…まだ、世の中捨てたもんじゃなかった 目の前に現れた紅にアスマは更に泣きたくなった。今の彼にはこれ以上にない癒しなのだ 「もうさ、おれ…部下についていけねぇよ」 「はぁ?何言ってるのよ」 「先生、知り合い?」 「えぇ、まぁ。……アスマ、あなたのとこの生徒は……奈良シカマル、山中いの、秋道チョウジだったわね。彼らがどうかしたの?」 どうかしたも、なにもあるか。大きな声でそう言いたかったがぐっと堪えた。横のキバも、一番初めの名前を聞いたとき悲鳴をあげそうになったがぐっと堪えた 「…………いや、やっぱなんでもねぇ」 本当は今すぐにでも愚痴りたい。助けて欲しい。しかしやっぱ惚れた女におれと同じ苦しみを味あわせてはいけない、そう思ったアスマは笑顔で首を横に振った 「本当?なんかやつれてない?」 「あぁ、問題ねぇ」 「部下がどうしたとか言ってなかった?」 「あぁ、問題ねぇ」 「……後ろから物凄い音が聞こえ、」 「何の問題もねぇ」 関わらせてはいけない。アスマは笑顔を崩すことなく言った その様子にキバは「あ、あっちにシカマルたちがいるんだな」と理解。絶対に近づくもんかと決意する 「そういや、紅たちは何の任務だ?」 話を反らそうとするアスマ。これ以上聞いても無駄だとわかった彼女は、彼の問いに腕を組みながら答える 「ペットの捕獲よ」 「あぁ…そりゃまた大変だな」 「まったくだわ、しかもペットっていうのがまさかの虫!」 「はははっ、そりゃまた変わったい、らい…ぬ………………………………………………………………………………………ぇ?虫?」 「そうなの!しかもただの虫じゃなくてなんか珍しい種類らしくて…」 「そうそう、確か一千万ぐらいすんだよなー」 「だから赤丸、食べたりしちゃダメよ?この辺にいるんだから」 「ワン!」 「で、そっちの任務は何?」 「………………………………………むし、………………………………………………………い、せん、まん………?」 「アスマ?」 ドォーン!!! 辺りに響く爆発音。それにキバと紅の二人は目を丸くして驚いた アスマは顔が真っ青になった 「お…お、まえら… 今すぐ止めろォォォォオ!!!!」 大の大人のマジ悲鳴。聞こえないはずはないのだが、奥からは相変わらず破壊音が響いてくる この騒ぎに紅班のメンバーであるヒナタとシノも駆け寄ってきた 「せ、先生…一体どうしたんですか?」 「さぁ、私が知りたいぐらいなのよね」 首を傾げる女性二人。その後方でキバは青ざめながら状況を理解した あそこにシカマルたちがいて… そんでそこに虫がいて… つまり、おれらがあいつを止めなきゃなんねぇってことで ………キバの決意が崩れたことを意味する 先に奥に入り止めに入っていったアスマが、ボロボロになりながら飛んできた それに紅は慌ててかけより、何があったか彼を問い詰める。しかし言えない、自分の生徒にやられたなんて、彼には言えなかった 「仕方ない、おれらも行くぞ」 「シ、シノ!?おま、ちょっと待て!!」 「待てない。何故ならこの先で虫が大量に殺されているからだ。おれにはわかる。そして許さん」 「許す許さないの問題じゃねぇんだ!向こうには化け物が!!」 「ならば尚更だ」 「シノォォォオ!!!」 もう任せよう、彼らに。アスマは現実逃避を始めた こうなったあの三人はもう手がつけらんねぇ。こっちが大人だと思ってんのか知らねぇが、マジで殺しにきやがる だったら同期のこいつらの方が向こうも手を抜くだろうし、止めることもできる。はず そう言い訳をして倒れた体を起こした。そして固まった 担当していないとはいえ、他の班のメンバーでも多少のことなら知っている。ましてやあそこは親父さんも忍だったはず そうだ、油女一族は確か……蟲を使っていたは、ず ドゴォーン!!!!! 今日一番の爆発音が鳴った。ちなみにシノはもうすでにこの場にはいない 「おまえら………ッ一回落ち着けェェェエ!!!」 木ノ葉の里、全域に届くのではないか。それぐらいデカイ悲鳴が響く 後日、病院には「油女シノ」と「猿飛アスマ」の名が書かれた部屋が用意されていた (なぁ赤丸、シノが不憫で仕方ねぇぜ…) |