「そうだの、今日は害虫駆除でもしてもらうかの」


ジジィ、それこの前やったわ









「つーわけで、今日はここら辺一帯の虫を駆除することになった。危険なやつはいねぇらしいから、安心して駆除してけよ」


一瞬三代目火影まで壊れたかと、つぼみラブになったのかと思ったが、普通に言葉通り害虫駆除の依頼らしい


最近あいつらに振り回されっぱなしだったからか…

うし、少し落ち着こうかおれ


「えー、虫の駆除ぉ?センセー、私女の子なんだけどー?」

「いのだし、大丈夫だよ」

「…チョウジ、それどういう意味?」


うんうん、よかった

うちの班に虫嫌いはいねぇみたいだ


今回の任務は落ち着いて出来るだろう、アスマはタバコに火を点けながら頷く


「そうだぜ、花屋の娘が何言ってやがんだ。さっさと全滅させんぞ」


うんうん、任務の方も真面目に取り組むみた、





………………ん?


「うっしゃ、とりあえず生態系が崩れるくれぇにはがんばっかー」

「待たんかい、そこの鹿野郎」


草むらを掻き分け、奥に進もうとする輩の頭を掴んだ。するとそこにはやる気、ではなく殺る気に満ちた瞳が


その瞬間アスマは「今日もおれの胃は締め付けられるのか」と悟り、泣きたくなった


その原因となっている人物は両手に持っている物を上下に振りながら、アスマを睨む


「あんだよ、任務すんだろ?」

「あぁ、するさ。もちろん任務やるさ、でもよ」


その手にあるものはなんですか?


そういやもうこんな時期だし、この前店で見たな。そこにいた主婦の皆さんも「これ強力なのよー」なんて話もしてたし


…………うん、で


「何って…"虫駆除スプレー、虫コロス。〜前作より強力になりました。スズメバチだって一発!〜"だけど?」


いや、なんでお前が持ってんだよ!!


「来る前に買ってきた」

「くんな!」


表情を変えることなく、足を前に進めるシカマル。下忍とは思えないその力にアスマは全体重をかけなければ止めることができない


いつも「めんどくせー」と言ってだらけるシカマル。こいつがこうなるのは決まって…





「つぼみ関係、か?」

「………………」


アスマの呟きにシカマルの動きが止まった。それでもいつ暴走するかわからないので、手を離すことは出来ない

つぼみが関わっているとなると他二名も黙っているはずがなく


「つぼみさんがどうかしたの!?」

「まさか、スズメバチに刺されちゃった!?」


青ざめながらシカマルを問い詰めるチョウジにいの。そんな二人にシカマルは無言で首を横に振り、小さく呟いた








「……………蚊、だ」

「………………蚊?」


この言葉にチョウジといのは口を押さえ絶句した

アスマは目から生気がなくなった


己の耳を疑った瞬間だった。なにこのガキ、なんでそんな深刻そうにしてんだよ

つーか、おい。チョウジ、いの、お前らの反応もおかしいぞ。え?これおれがおかしいのか?え???


「あぁ、」

「………モスキート、のことだよな?」

「そうだよ、なんで英語にしてんだ」


「うざってぇ」そう言い、ここで今日初めて表情を崩したシカマルに、殴りたいと思ったおれは正常だろう

とりあえず気持ちを押さえるために、おもいっきりタバコの煙を吸い込んだ


「あのな、シカマル。そんなことでいちいち暴れてたぶっ!」


突然の浮遊感、どうやら投げ飛ばされたらしい。どうしよう、せっかく我慢したのにまた殴りたくなってしまった


「…そんなこと、だと?」


声が震えている。そんなこと発言が相当お気に召さなかったのか?おれだって許されるならテメェを一発殴りたいんだが


遠くを見つめるアスマを無視し、シカマルは辛そうに語る。いや、だからただの蚊なんだろ?おい








「つぼみはな、まだ蚊の季節にゃ早いのに六ヶ所も刺されたんだ…」


だからどうした、と言ってやりてぇ


「なんですって…!」


食いつくのかよ


「右腕、左足首、太股、頬っぺたに顎のした、んで後ろ首」

「…ーッ蚊の分際で生意気よ!私のつぼみさんになんてことを!」

「お前のじゃねぇ、おれのだ」

「ボクたち、がいいな」


どれもちげぇよ


「こうなったらこの世界からすべての虫を滅するしかないわ!!シカマル、スプレー貸しなさい!!!」

「おらよ。……あ、チョウジ、わりぃ。二個しか…」

「大丈夫。ボクは押し潰してくから




倍加の術!!」

「よーし、イノシカチョウチーム、いっくわよー!!」

「「おぉ!!」」









「………………、」


もう、なんも言いたくねぇや



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