「さて、おれはお前たち第10班を纏めていく猿飛アスマっつーもんだ」 「あ、よろしくお願いします」 「…………うん、で、お嬢ちゃんは誰だ?忍…じゃねーだろ?」 はい、一般人です お昼後、どうやらまだ皆には担当上忍と顔合わせという用事があったらしい しかし、何故私はここにいるのだろうか……いや、先生さんそんな顔しないで。私もよくわかってないの 確か皆と「午後も頑張ってね」「頑張らなきゃいけないこと、やるのかなぁ」「めんどくせー…」「よーし、ならさっさと終わらせるわよ」みたいなやり取りして…あ、そうだ。別れようとしたら腕捕まれたんだ 「と、りあえず…関係ねぇなら帰って…」 「ダメ!」 「やだ」 「無理」 「……………」 だから先生さん、そんな顔しないで! うっと顔を覆いたくなったつぼみ。だが残念、両腕はチョウジといのに取られている 仕方ない、そうため息をつき自己紹介をするよう先生は言った 「えー、私は山中いの。好きなのはぁーサスケくんとぉー、つぼみさん!将来的にはサスケくんと結婚してつぼみさんに居候してもらいたいと思います」 いそ…っ、 …いのちゃん、私そんなお邪魔虫みたいになりたくない… 「嫌いなのは私とつぼみさんの仲を邪魔してくるデコです」 「…へぇ、随分とピンポイントだな。あとこっち見んな」 「えぇー、見てないわよ別にぃー」 両端から熱い火花が散る。流れで私も自己紹介をするべきか迷っていたらチョウジくんが口を開いた 「秋道チョウジ、好きなことは食べること、嫌いなことは食べ物を奪われること。あ、もちろんつぼみさんのことは好きだよ」 「…う、うん。ありがとう」 「今度みんなで焼き肉行こうね」 お姉さん嬉しいけど…君ら本当に私のことが大好きなのね …お姉さん離れはいつできるのかな、みんな 喜んでいいのやらよくわからないつぼみ。昔からこのような感じだったため、三人からの重すぎる想いに気付いていないようだ そして一番ベビーな人物が動いた 「あー…っと、奈良シカマル。好きなのは雲を眺めること、つぼみと一緒にいること。嫌いなのはジャンケンに負けたくせにつぼみの隣を譲らねぇやつ」 再び火花が散った。あ、先生さん大丈夫です。これでも皆仲良しさんなので ぷはー、とタバコの煙を吐き出しながら彼は私にもするよう促した(え?いいの?) 「……まぁ、ついでだから」 それに今後も付き合いありそうだ…。なんて先生が思っていたことは知らない 「あ、はい。名前は草花つぼみです。嫌いなことはー…今のところ特に思い浮かびませんが、私はこの三人のことが大好きです」 「「つぼみさん…!」」 こちらを見上げてきた両サイド二人の肩に手を回し、ぎゅっと抱き締めてあげる。手の届かないシカマルくんには、私が出来る最大級の笑顔を贈る 「猿飛先生、」 「ん?」 「三人のことよろしくお願いします」 ぺこり、と丁寧に頭を下げた もう昔みたいによちよち歩きの皆じゃない。私じゃあ、守れないところに行ってしまう こういうとき、私も忍になっていたらなぁ…なんて(まぁ、怖いし、絶対やだ) 大好きな三人をどうか立派な忍にしてあげて下さい ぽんっ 「安心しろ、おれがしっかり面倒見てやるさ」 「猿飛先生、わわっ」 大きくて温かい手が頭に乗った。そして乱暴に撫でられる。…頭撫でられるとか、あんまされたことないや だからぐわんぐわん揺れる視界に写った先生さんにドキドキしてしまったのは仕方ない。センセーさん、あんたモテまっせ 「「「…………」」」 いちゃいちゃラブラブ、とまではいかないが、良い雰囲気を辺りに撒き散らす二人 自分たちじゃ作れないその空気にもちろん、三人のイライラは積もっていく 「…よーし、んじゃあ明日ちょっくら演習テストするからな。結構大事なテストだからこの紙しっかり読んどけよー?」 「センセー、武器はあり?」 「おー、本気で来い」 「私、罠とか事前に仕掛けたいんだけど」 「ハッハッハ、そりゃ演習中にやれ」 「ガチで殺しても怒られねぇ?」 「お前らごときに殺られやしねぇが…ま、そのぐらいの気合いで来い」 「だから、殺しても平気なんだな?」 「いや、だから…」 「平気、なんだろ?」 「……………え、と」 「明日は手を抜かず、本気でいくわよー!」 「からの焼き肉!」 「速攻終わらせるか…じわじわと苦しめるか…」 「……………」 「………………猿飛先生、」 今度はつぼみがアスマの肩に手をぽんっと乗せた。つぼみの位置からでは彼の顔は見えないが、なんとなく想像は出来た 目の前ではこれから教え子と、部下となる三人が下忍とは思えない殺気を出しながら作戦会議をしている 「ご、相談…いつでも待ってます」 「……………」 つぼみの言葉にアスマはゆっくりと頷いた (みんな、先生いじめちゃダメだよ…?) |