イルカ先生がうだうだと長ったらしい説明を始めてしばらく。シカマルは既に忍をやめたくなっていた


「はぁぁあぁ…」

「シカマル…」


チョウジが机に倒れるシカマルの肩をポンッと叩いた。それに「どんまい」の意が込められていたことは、しっかりと伝わっている


「チョウジ、なんかもうやってらんねぇわ」

「うん、そうだね」

「…アカデミーの頃だってなかなか会えなかったのに……あ゛ー、くそっ!」

「会えなくなるのは、ボクも寂しいなぁ…」

「止めるなら…今だよな」

「無理だろうけどね」


落ち込みお菓子を持っていた手の動きを止めるチョウジ。全体的にじめじめとキノコ栽培を行いながら落ち込むシカマル

その横で気になるけど声のかけられないキバがいた


「な、なんだあいつら…」


その呟きに答えられる者は誰もいなかった






「はぁ…」


あー、つぼみのやつ今頃なにしてんのかな。あの両親だし、家事でもしてんだろうな…

………あ、買い物だったらどうすっか。もし買い物途中で変な男に絡まれたら……いや、それよりも知らねぇやつに惚れたら


……え、なにそれ。ものすっげぇめんどくせぇじゃねぇかそれ!


ッダメだ!!やっぱり忍なんざやってる場合じゃねぇ!!

変な虫が付かねぇようにしねぇと、


「あ、つぼみ姉ちゃん!」


あ゛ぁああ…!ほらみろ!やっぱり絡まれ……あ?







「…………ナルト?今なんて?」

「え?だからつぼみ姉ちゃんがいるって…」

「「どこに!?」」


窓を指すナルトの声にシカマルと…いのが立ち上がった。それにチョウジ以外の全員が驚く

窓から身を乗りだし遠くを見る二人の視界には、見慣れた彼女が立っていた


「つぼみっさーん!!!」

「っせぇなお前…いきなり叫ぶなよ!」

「なによー…あ!つぼみさん気付いて手振ってくれた!私に」

「あ゛ぁ!?おれにだ、」

「あんた手ぇ振ってないじゃない」

「………チッ」


固まる生徒たちに、戸惑う先生。そして、いつも通りお菓子を食べるチョウジ


教室の空気を読み取ったチョウジは親友の背中を見た


いのはともかく…シカマルがあぁなるのはつぼみさん関係だけだからね

珍しいんだろうな


「ま、ボクは慣れたけど」そう呟いて、チョウジも窓の外に視線を移した



そしてカッ!と目を見開く





「…シカマル!いの!」

「んだよ…!」

「なによ!」


睨み合っているため、例の彼女を視界に写しているのはチョウジのみ。そのチョウジが見たもの、それは





「つぼみさんが絡まれてる。イケメン男子に」

「「なにぃ…ッ!?」」


アカデミーの門に立つつぼみに近寄り、話し掛ける見知らぬ男

ニコニコと人当たりの良さそうな感じだ


「…ッんだあいつ、あからさまだろあからさま過ぎんだろ、下心隠しすぎて逆にオープンだろあれ」

「顔は合格ラインね。でも初対面の相手少し馴れ馴れし過ぎるわ」


敵意は剥き出しの二人

そんな二人の殺気に気付かない男は更に彼女に近付き





「あーーー!!」

「……………」


いのが絶叫した

シカマルは無言で窓に足をかけた


「…おれは今日ほど忍になれたことに感謝したことはねぇ」

「殺しちゃダメよ、イケメンだから7割にしなさい。て言うか私も行くわ!」



「…………お前たち」


ほろりと涙を流すイルカ先生に、皆が同情した

既に窓から飛び出していった二名。ちなみにまだ下忍の説明は終わっていないのである


……まぁ、あいつら二人とチョウジは同じ班だし、チョウジに聞いといてもらえば


彼の中に二人を捕まえるという選択肢はなかった。しかし、ここで頼みの綱であるチョウジまでもが立ち上がる


「じゃあボクも行ってくるね、先生」

「え…?……………ッえ゛!?ちょ、ま!!」


「お前もなのか!?どうして!?」あまりにも悲痛な声に表情。ナルトが今まで行ってきたイタズラについて謝りたくなるほどだ


「うん、だってボクたち」


つぼみさんのこと大好きだし





鼻唄を歌いながら教室の扉を出るチョウジ。廊下には彼の足音と、スナックの音が響いた







「チョウジお前……


ちゃんとドアから出て偉いな……」

「せ、先生…しっかりして…!!」


教室には生暖かい眼差しのイルカ先生がいたそうな



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