なんと言いますか、その、びっくりだよ


母が「お茶っぱないわぁ、買ってこなくちゃ」と言っていたのが一週間前。今日の朝飲もうとしたらまだ買われてなかったので買いに行っていた

しかし帰ってきたらどうだこれ。見知らぬ方はいるし、その息子さんらしき赤ちゃんは泣いてるし、両親は台所で事故ってるし


いや、もう私にどうしろと


……あ、そうか。ようやくわかったぞ

これは神様が与えた試練なんだ。生まれ変わってこの新たな親の面倒を見なさいっていう


そりゃないよ神様


多少の現実逃避。しかしそんなことをしても現状は変わらないので仕方なく動く


とりあえず両親の方はいつものことなので放置。あとからでも大丈夫

こちらの親子さんたちは……うーん、どうしよう。子供は泣いてるし、お父さまの方は目が死んでるよ?


………や、ヤバイんじゃないかな、これ


慌てて近寄り、お父さんの方の肩を叩く。すると一瞬驚いた顔し、そのあと泣きそうに眉を寄せた。そして口元は笑ってた


…あ、これが世間で聞く「諦めた表情」ってやつ?


「お嬢ちゃん、もしかしてあの二人の子供かな?」

「は、はい…」

「………あぁ、やっぱそうか」


大変だ、大の大人を泣かしてしまった


キラリと彼の目元に光るそれは涙で間違いないだろう。親子揃って泣くとか、どういう状況なんですか


お父さまの方はよくわからない、からこれも放置の方向で。うん、仕方ないね

さて、息子さんの方はどうしよう…


「ぼく、ぼく」

「ぅあぁああ…!」

「お腹しゅいたの?」

「あ゛ぁああぁ…ッ!」

「う゛ーん…」


まだ赤ちゃんだし…多分お腹空いたんだよね

……しかし困った。我が家に粉ミルクなんてないぞ


母からしっかりと母乳を頂いていたのでないだろうし、今の台所には正直言って行きたくない


赤ちゃんを泣き止ませるにはどうすれば。あ、そういえばあんなのあった


ぽむ、と小さな手を叩き、急いで流しへと手を洗いに行く。そしてまた急いで親子の元へと戻り、赤ちゃんの口に指を差し込んだ


「は!?ちょ、お嬢ちゃん!?なにして…!!」

「あの、ミルクもないし、おしゃぶりもないんで……しゅいましぇん」


あと、さ行言えなくてすみません



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