おれのロリコン説はあっという間に同期に広がり、つい先日アスマに真顔で「疲れてんのか?」と聞かれてしまった。あぁ、もう泣き疲れたぜ


そんなことがあったせいか、あの娘に会いに行くこともできず





「あっ!シカマル兄ちゃんだー!」

「よー、あの娘ー」


なんてことはない


確かに、おれはあの娘と会っていいのだろうか、こうして傍にいていいのだろうか、と何度も考えたが体は正直だった。無意識の内にこの店に来て、あの娘と一緒にいてしまう


仕方ねぇよ、だっておれ

あの娘のこと、大好きだし

おれからあの娘取ったら、なーんにも残りませんから


これが開き直り

今日もあの娘は店番なのだろう。働き者で偉い偉い。いつも通り、彼女の隣に行こうとしたら腕を掴まれた


…………お?


「おかーさん!!兄ちゃん来たからいいー!?」


なにが、ッスか


「はいはい、いいわよー」


いや、なにがいいんスか


「わぁーい!!」


わけがわからねぇが、あの娘が喜んでるから別にいいか


目の前の親子の会話についていけず、おれを引っ張るあの娘に素直に従った。そしてあの娘にそのままズルズルと家の中に引っ張られて、





………………………………………………え?


「今日ね、シカマル兄ちゃん来たらお仕事終わりにしていいって言われたの」


……………え?


「シカマル兄ちゃんは今日お休み?一日中一緒にいられる?」


…………………えっ?


「一緒にいられたら、私嬉しいなぁ…」





ズキューン!

………ぱたり


「…し、シカマル兄ちゃーん!?」

「……………」


………撃ち抜かれた。ゼロ距離で心の臓を撃ち抜かれた

しかし撃ち抜かれたはずなのに、鼓動は激しい。胸が締め付けられる。あー、不思議だ


あの娘ん家の玄関先で倒れたおれの頭を、彼女は泣きながら抱き抱えた。「死なないでー!」と泣き叫び、更にキツく抱き締め……あの娘さんあの娘さん、それ逆効果ッス


上忍奈良シカマル、本日未明に幸せ死します




「兄ちゃ…死んじゃやぁ…!!」


結婚してくれるって、言ったのにー!うわぁあん!





「………………」


あの娘、さん?

今、なんと……?


可愛らしくピーピー泣く彼女の肩を掴み、目と目を合わせる

涙を流すその表情に、顔が更に前に進もうとしたが、そこはなんとかグッと堪えた


手で優しく拭いながら、ゆっくりと問いかける



「えー、と…あの娘は、さ」


おれと結婚してくれんの?


確かにおれはこの前、彼女のご両親に「娘さんを下さい」と言った。彼女と結婚したいと言った

しかし、まさか


「うん、兄ちゃんと結婚したい」


兄ちゃんのこと、世界で、いっ…ちばん!!大好きだもん!!


「せ、か……ぃ…ッ!?」


まさか、あの娘からこんな言葉が聞けるだなんて!!!


いくらこちらが本気でも、相手に伝わっていないと思ってた

おままごと程度に受け止められてるのかと、思ってた


いや、あの娘は子供だ。もしかすっとそこまで深い意味はないのかもしれない。ノリで、言っただけかもしれない


………いやいやいや、





「………なかったことになんて、させねぇし」

「……?兄ちゃ、」


怪しく笑うおれに、あの娘は首を傾げた


仮にこの「大好き」がおれと同じじゃなかったとしても

これから、おれと同じにすればいい


ぷにぷにの頬に手を添え、軽く引き寄せる。そして





ちゅ、っと、押し当てた

何を?おれの口を
どこに?あの娘の口



……に触れるか触れないか、ギリギリのところに


あれだけ偉そうに言ったのに理性が中途半端に働いてしまった

しかし、これは許されるのだろうか。働いたはいいが、これはアウトな気が……いや、もう許して下さいお願いします。そんでもう一回やりたいんスど、いいッスか?つーか、これから毎日やっていくつもりなんスけど

あの娘がおれだけしか見えねぇようにするために、毎日毎日毎日、まいにち…


暴れる本能を気合いで抑える。そのため、外からの情報が一切脳に届かなかった。そのせいであの娘の次の行動を、何の抵抗もせずに受け入れてしまった。いや、意識があったとしても、拒絶なんざしねぇがよ


「兄ちゃん」

「なんっ………だ、!?」





「…えへへー、あの娘もちゅう、しちゃった」


許す、許さねぇ、関係あるか


少し濡れた、唇をぺろりとひと舐め



全世界の男に問いたい。惚れた女がこんな可愛らしいことをしてきて、耐えきれますか?おれには無理です


彼女の小さいその身体を、力加減をしながらぎゅうと抱きしめた。お返しにこちらかもしたかったが抱きしめるだけで……嘘です、しました。ガッツリといただきました。我慢出来るはずがないって、言ってんだろ?

子供とはいえ、数回重ねればあの娘の頬も赤く染まる。最後に赤くなったそこに唇を押し当て、瞬身の術であの娘の家を後にした





向かう先は、上忍待機所


おもいっきりそこの扉を開ければ、全員の視線を集めた。そんな視線を全身に浴びながら、おれは一人の名前を呼ぶ


「アスマァ!!」

「な、なんだ…」


あ、先生つけ忘れた

まぁ、いいか


自分の部下が、少女を抱えて乗り込んできたのだ。そりゃ誰だって驚くだろう。目を丸くさせ固まるアスマに、目をキリッとさせおれは言った


「先生、」





おれたち、結婚します!


「ぶふー」待機所全体からお茶を吹き出した音が響いた。アスマの口から、タバコぽろりと落ちた

沈黙に包まれる待機所


そこにあの娘が「はい」と手を上げた





「私、今日から奈良あの娘になります。よろしくお願いしますっ」





「………………、」


今日から、だと…!?


嬉しさのあまり夢かどうか疑った。なので、近場の先輩を殴ってみたら拳が痛かった。どうやら現実でいいらしい。…やったぜ!





無事婚約成立


「よぉし、婚姻届貰いに行くか」「シカマルおま、ちょっと落ち着け!」「式場はどこにすっか…」「私、お花ポーンて投げたい!」「じゃあまずいのん家だな」「そこのお二人さんカムバック!!」



年の差未成年夫婦誕生