最近、自分がおかしい。


体温が高く感じるし、
ヤバイくらいに動悸もする。
仕事も集中できない。


いろいろとヤバイが、三つ目のは命に関わる。書類まとめならいいが、任務の場合死ぬ、確実に。

五代目もそんなおれの状況を知ったのか、あまり危険な任務を回してこない。…のんびりしてる暇はねぇけどな。


早急にどうにかしなくてはならない。


…まぁ、原因はわかってるんだけどよ。


原因、それは自分にゃ一番無縁だと思ってた「恋」ってやつだ。


…………いいさ、認めよう。恋してることぐらい。それに振り回されてることも認めよう。任務に手付かずになるぐらいヘタレなこともだ。

でもこれだけは認めねぇ。いや、認めるわけにはいかねぇ。


「あの娘」

「!こんにちは…と、いらっしゃいませ」

「おぉ」


恋してる相手が


「一人か?」

「ん、」

「そうか、偉いな」


自分よりも一回り年下のこいつだってことは。


細く柔らかい髪を撫でてやると嬉しそうに笑うあの娘。目の前にあるその笑顔を、まるごと抱き締めたい衝動に駆られたがなんとか抑えた。


…落ち着けおれ。ここでんなことしたら立派な犯罪者だ。

ロリコンとかマジ許されねぇし、ドン引きされるどころじゃねぇよチクショウ。


「変態はカカシさんで十分、変態はカカシさんで十分」と魔法の呪文を心の中で何回も唱えながら正気を保つ。険しい表情のおれにあの娘は首を傾げながら、己の仕事をする。


「何か買いますか?」


小さな雑貨屋を経営しているあの娘の家。品揃えも店のサイズのわりに、そこそこいい。
とりあえず何も買わないのも申し訳ないので、目についた飴玉を頼む。


「味はいろいろあるけど、」

「ん?そうだな…」


飴頼んどいてあれだが、なるべく甘くねぇのが…、


「あのね、私はね、イチゴ味の飴が好き」

「じゃあそれで」

「ありがとうございます!」


………たまには甘いのも食べてぇし。


パァッと花が咲くような笑顔。「これは営業スマイル、これは営業スマイル」と呪文を唱え、財布を出そうと腰に手を伸ばす。

しかし財布を出す前に止められてしまった。


「あの娘?」

「あ、あのね…」


会計済みを表すシールが貼られた商品。袋の中にある飴たちがおれの手の中で音をたてた。





「私からのプレゼント、」

「お?」

「いつもがんばってるシカマル兄ちゃんに」


お母さんには内緒ね?大好きな兄ちゃんだから特別っ!


営業スマイルの範囲を越えた笑顔に心臓が悲鳴をあげた。ノドから込み上げてきた奇声を、反射的に飲み込んだ自分に拍手を贈りたい。



なんだこれ、

なんだこの可愛い生き物。


あぁ、うん、そう、知ってる。こいつはあの娘で、この店の娘さんで、おれより年下で…


「もう、いいや」

「?」


おれをロリコンにさせた女の子です。(いや、でも小さい子が、とかじゃなくて)(あの娘が、なんだけどよ)





引き返し不可能


「あの娘、兄ちゃん手加減とかしねぇから。本気だから」「?うん、」「とりあえず、明日どっか遊び行くか」「行く!」



動き出したIQ200