「わ、丸井先輩だ!」
「お前本当、先輩のこと好きだよな」
「だって、カッコイイじゃん」
「そうかぁ?」


同級生の赤也と仲良くなってから、テニス部を知り、丸井先輩に出会った。テニスをしてる時の先輩に一目惚れ的な何かをしてすっかりファンみたいなものになってしまった。それからと言うもの、赤也曰く俺にはフィルターが掛かった状態で先輩が目に映っているらしく、嗚呼今日もとっても輝いてます、先輩!



「あ、そういや先輩がお前と話してみたいって言ってた」
「…え」
「あれ、もっと嬉しそうにすると思ってた」
「いや、あの、見てるだけでいいんだって」
「…ウゲ、女子か」
「うるせー!」


丸井先輩が俺なんかと…。赤也から聞いたその衝撃的発言が頭の中をぐるぐると回る。そもそも丸井先輩何で俺のこと知ってんだろ。赤也と一緒に居るからか。花畑に居る様な浮かれた状態で購買へと足を向けた。今日は珍しく母さんが朝から用事があったらしく弁当がない。


「お、赤也といつも一緒に居る」
「ま、まままま、ま…!」
「ちょ、何で逃げんだよぃ!」


スキップさえしてしまいそうだった数分前、否数十秒前の俺は何処へ。今はテニス部レギュラーの丸井先輩から逃走中。いや、何て言うか、俺は丸井先輩が楽しそうにテニスやってる時の笑顔に惚れてしまっただけで学校生活、プライベートの丸井先輩はご遠慮したいっていうか、ノーサンキューなんですって!!!



「テニス部に勝てるつもりだったのかよぃ」
「ま、まさか、滅相もないです…」
「あのさぁ、俺、テニス見てる時のお前の笑顔に、なんつーか、一目惚れしちまったんだけど」


それだけでは足りない、と先輩が俺の腕をグイッと引っ張って囁いた様な気がした。



いろはにほへと様へ提出