「こんばんは、カイジさん」



夕食を共にしようと言ったカイジさんに誘われてカイジさんのアパートに足を向けた。寂れたアパートは如何にもカイジさんらしく自然と頬が緩む。
中に招かれ小さなテーブルの前に腰を下ろした。ふと鼻を掠めた匂いにもう出来ていたのかと思う。運ばれてきたのはキャベツしか乗っていない味噌ラーメンだった。
けち臭いなんて思うけれど男の一人暮らしなんてのはだいたい同じ。あの人もあの人もそういやそんな感じだったと思いながら手を合わせた。



「なんであんなことしてたんだ」



片付けなんて言えないけれど丼を流しに置いて片付けを終了させてテレビを見ていた。ゲラゲラという笑い声だけはどの番組を見ても一番大きい。頭が痛くなることはないけれどなんだか目が回る。



「あんなことって、なんすか?」



とぼけるのは俺の専売特許で今までもそんなこんなで乗り越えてきた。ずる賢いなんて大層なものじゃない。臆病な俺でごめんよ。賞賛してくれたみんなにはとても顔見せできない。
どんっと胸を押されて床に倒される。頭を打たないように首を曲げて頭を上げた。背中が床とくっついたころに頭をさげて上を見上げた。



「なん、すか」
「こういうことを、なんでしてたんだ」



シャツを胸まで上げられてそこにカイジさんの手が滑る。きっとそこにはたくさんの痕があるだろう。その痕を指でぐりぐりと押される度にひくつく自分自身に絶望しながらもだらし無い顔になっていく。気持ちいなんて言わないけれど。
視線をカイジさんと合わせると長い髪が邪魔をする。その黒い髪の奥にある目を俺は見たいのに。



「誰とでもいいのかよ」
「あ、ん、ん……っ」



胸を引っ張られズボンの下を掴まれてもう逃げられなくなる。引っ切りなしに上がる自分の声に驚いて目を閉じた。



「う、くぅ、はっ……ひっ、」
「いいのかよ」
「あぁ、あ、ふっ、ぅあ」



閉じた目を懸命に開けてカイジさんを見る。相変わらず長い髪で目は見えない。
俺はついに身体を弓のように反らして果てた。遠ざかる意識の中でもカイジさんの目は見えなかった。





触られて、撫でられて、吸われて、弄られて、入れられて。そんなことを繰り返しながら頭に映る貴方の鋭く、そして軽蔑するような視線を想像しては果てるのです。





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なんかMっぽい佐原。
そんな佐原も好き。








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テーマ「人外ファンタジー」
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