物好きな人間はどこにでも居るんだと目に痛い光の中でそう思ったんだ。



「おーじーさんっ、会いに来ちゃった!」



肩を叩いた相手は俺に向かって笑顔を見せた。こんなチャラくてなんの取り柄も無い二十歳の男の顔を見て笑顔なんてホント変。するりと手を撫でるように繋ぐ。誰も俺達を気にしない。だってここはそんな通りだもの。よくある話だと皆が言う。
適当な店に入ってお酒を飲む。金はもちろん相手持ち。俺は財布なんか出さないし出す金が無い。おじさんが頼んだお酒を適度に飲みながらのどを鳴らして喜ぶだけの簡単なお仕事。素敵だねなんてきっと誰も言わないだろう。繋いだ手がじっとりと汗ばむ。



「ねぇ、おじさん?」



くっと手を引っ張って耳打ちをする。お酒で出来上がった熱めの息を吐きながら言ってみればおじさんの手に力が入る。息はお酒の甘い匂いだ。ホントはビールが飲みたいのにジュースみたいなお酒を飲まされる。でもそれを拒否しないのが鉄則。だって可愛くみせたいじゃないか。
カウンターでお金を払って貰って通りを二人で歩く。最初よりも体をべったりくっつけて指を絡ませて。ちょっと体重をかけるのがコツだったりする。ふらりと足が向かう先は決まっていた。



「ぃ、あっ、そこっ、そこっ!」



握られて擦られて弄られて入れられて。気持ちいことなのは自分が一番知ってる。頭が悪いことなのは自分が一番知ってる。それでもやめないやめれない人の性。
甘えて鳴いて振ってねだって泣いて。こんな簡単な仕事そうそう無いよね。人は選ぶけど。


「あ、な、中で……中がいいっ、抜かない、で!はっ、ん、やぁっ」



AV顔負けなんて生温い。もっと激しくねだって鳴く。単純明解不思議物語。それでも皆興奮しちゃうのが男の性っつって。馬鹿みたいなのは知ってる。けど皆大好きなんだ。



「ひっ、ぃ、ぁ、ん……あっ、イ、ちゃ、イっちゃ、い、ふぁ、やぁっ!」



オーバーリアクションは大切なこと。気持ちいいって伝えなきゃ。実際問題気持ちいし。
上に被さってくるおじさんの背中に腕を回して気持ち良かったアピール。乱れた息はゆっくり吐いて止めて吸う。もじもじ足を動かしてまだ足りないよアピール。実際問題まだ足りない。



「おじさん……まだ、欲しい」





もっと、金が欲しい。





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エンコー佐原。
私はそのおじさんになりたい。









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テーマ「人外ファンタジー」
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