「美味しいかい?」



聞けば美味しいと言っているのだろうけれど食べる音によって掻き消されてしまっている。相変わらず品が無いなと思いながらも彼が満足しているならいいかと思えてくるのも事実。
空になった皿を見るというのがこんなにも清々しいものなのか、と思いながら皿を片付けていく。彼はごちそうさまと言いながら食後のお茶に手を伸ばしていた。



「久しぶりにココの飯食ったけど美味いな!」
「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ」



嘘偽りのない言葉というのはやはり嬉しい。あの屈託のない笑顔で言われれば、更に。
片付けも早々にトリコの元に戻る。あれだけ食べたというのにテーブルの上にあったお茶菓子が無くなっていた。さすが食いしん坊ちゃんだと半ば呆れながらもお茶のお代わりを出す。
きらきらと光る瞳も青い髪も健康的な肌も。全て君のものだっていうことは分かっているのだけれど、この衝動は何なのだろう。君の全てを僕のものにしたいなんて。
席を立ち、トリコの隣に移動する。きょとんとした顔で僕を見上げるその姿はとても愛らしく見えた。身を屈め、トリコと唇を合わせる。



「なんだよ、突然」
「うん、ごめん」
「謝んなくていいけどよ……」
「なら、もう一回」



唇に歯を当てて軽く噛む。柔らかいなと思いながら歯を当てたそこを舐めた。とても甘く、いっそ食べれるのではないかと思うくらい。
いや、食べてしまおうか。身体も心も、全て。そうすればずっと一緒に居られる。トリコに食べて貰うのもいいかもしれないな。
そんなこと言う勇気なんかないんだけど。



「ねえ、トリコ」
「んー?」
「愛してるよ」








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