冷たい雨がコンクリートに染みていく。それでも雨を吸収することなく、コンクリートの上にはたくさんの水溜まりが出来ていた。きっとコンクリートの中は雨に濡れずあたたかいのだろう。そんなことは無いのだけれど。
あいつはあの土の中で何を思ったのだろう。何も身につけず雨が染み込むあの冷たい土の中で、何を。考えてみても思い浮かぶものは陳腐なことばかりだ。きっと呆れられる、そんなこと。
あいつと行動したのはたった少しの時間だというのに頭はその時間を記憶していた。末路があんなに酷いものだったというのに、俺があいつにしたことはとても醜いことだったというのに記憶は美化されていく。
俺の隣にいたあいつはいつも笑っているのだ。





記憶はただ美しく、君は笑う





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平山幸雄追憶文。
思い出は美化されていくらしいので、そんな感じに。
でも凡夫はそんな笑ってないと思う。
むしろ泣いていてほしい。








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テーマ「人外ファンタジー」
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