最初は腹を蹴られた。痛い、と思ったときには口から嘔吐物が溢れて地面に染みが出来た。口の中がすっぱいような苦いような、それでいて甘いような不思議な感覚を味わいながら前を見るとふと目の前が暗くなる。ごっ、と鈍い音の次に目に違和感と痛みを覚えた。次は目を殴られたのだ。目が一瞬にして圧迫される感覚なんて、初めてだった。目が開けられない。まるで目蓋の筋肉が死んだみたいに動かない。半分視界が消えた状態で下を向くと、今度は突き上げられるような痛みが顔の中心を襲う。鼻を殴られたのだと理解するまでにいくらか時間を使った。生暖かい感覚が鼻の下から口にまで届く。次はどこを殴られるのだろうと考えていると目の前に白い拳が近づいてきた。



「起きたか?」
「……赤木、さん」
「お、喋れるか。やっぱ若いな」
「俺、何発殴られましたっけ」
「えーっと……3発」
「4発じゃないんですか?」
「お前、寝ちまったからな。4発目やろうとした瞬間」
「……あぁ」



赤城さんに殴られた箇所を思い出しながら触れていく。腹と、目と鼻。的確な処置がしてあって、たぶん治りも早いだろう。そう思いながら次はいつ殴られるのだろう、できるならこの傷が治った頃がいいと思った。





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破壊衝動的な話。
ひろは赤木さんになら殴られてもいいとか本気で思ってそうなイメージ。
ドMか。








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