太陽の眩しさに耐え切れず目を開ける。九月も半ばを過ぎ、だいぶ涼しくなってきた。
カレンダーを見ながらシャツに腕を通す。今日は天さんたちと集まる約束をしていた。髭を剃り、軽い朝食を取って出掛ける。今日は赤木さんの命日だ。
あの夜からどれぐらい経ったのだろう。その月日の中でたくさんのことがあった。今までの自分を変えるように、変われるようにただひたすら歩き続けた。もちろんその道が間違っていると言う人もいるだろう。それでも俺は、この道を歩き続けたかった。
たまにあの夜のことを思い出して考えることがある。もし赤木さんを止められていたら今の時間は無いし、止められていたら今とは違う時間があった。どちらが正しいのかきっと誰にも分からないのだろうけれど、今は進むしかない。
天さんと待ち合わせしている場所は赤木さんの墓だ。きっとまた墓石は削られて小さくなっているだろう、簡単に想像出来る。
あれからどれぐらい経ったのか分からないけれど、赤木さんのことは誰も忘れていないし、むしろ強く皆の心に伝わっていく。その証拠に、目の前の墓石は以前よりも小さく欠けていた。



「またか……ったく、このままだと墓石全部無くなっちまう!」
「そうですね。でもそれに反してお供えものは増えていきますね、面白いことに」
「面白いわけあるかよ!ドル箱増えてもなんの足しにもならねぇ!」
「はは。……まあ、あの人は気にしませんよ」



墓石を洗い、お供えものを整理しながら空を見上げる。ああ、貴方がいるあの空は今日も青い。





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赤木しげる追憶文。
天とひろは毎年二人でお墓に行きそう。
26日晴れてよかった。最初曇だったから余計に。








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