別にいいんじゃないかなと思う。人の考え方なんて様々だ。自分と同じ考え方のやつなんてそうそう居ない。分かりきっていることなのに人はそれを嘆く。例えばそれが人の壁だと。例えばそれが愛の壁だと。



「今日さ、ニュースで内乱が酷いってやってたんだ」
「……へぇ」



零はよくテレビを見ている。そこから得られる知識は案外役に立つらしく俺も零の真似をして見ることがあった。しかし零ほど真面目には見ていない。そのせいか今零が言っている内容を理解するのに少しだけ時間がかかった。戦争ということばを最近聞かなくなったと思う。世界平和を願う声が多いからかそれともただ一時的に戦争をしていないだけか知らない。代わりに内乱という言葉を聞くようになったと思う。国の中で起こる争い。違う民族が戦ういざこざ。しかしどれも他の国のことだった。日本は平和な国だ。それを嘆く人もいればいない人もいる。俺はどちらなんだろう。



「なんか……」
「どうした?」
「……なんか、さ。普通みんなこれを一大事とか、内乱に巻き込まれた人たちを可哀相とか思うんだろうなって。そう考えたら、ちょっと俺は薄情だと思えてきて」
「薄情……?」
「テレビでニュースを見ても、特に何も思わなくて。国の名前すら覚えていないし。たまたま思いついて口に出したはいいけど、それがなんだって話でしょ?熱く話し合うわけでもない」



零はそう言ったままどこか遠くを見ていた。視線を追ってもそこにある何かを俺は見ることができないから見ない。



「べつに」
「え?」
「べつに、いいと思う。可哀相とか、国の名前が出てこなくても。人には人のそれぞれの考えがあるし、それをとやかく言うやつは、元を辿ればゼロなんだから意味はない。だってみんな、他人に対してそこまで思ってなんかないんだから。だから、いいと思う。薄情でも、べつに。みんな違うんだから。無理に思わなくても、さ」



大きな目が二つぱちりと動く。それからその目を細めて零はありがとうと言った。零が何故お礼を言うのか分からないけれど俺はとりあえずどう致しましてと呟いた。





----------

落ち込む零を無意識に慰める涯くんの話。








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -