初めは嫌いだった。全て、この世が憎かった。



「葉、取って」
「ほい」



新聞を受け取り紙面を開く。相変わらず政治家たちが我先にと戦略を駆使し政界居残りに金を使う記事が堂々と一面を飾っていた。醜い。その一言に尽きてしまって眉を潜めた。これだから嫌なのだ。くだらない椅子に座るより地べたに座ってみればいい、きっとそんな柔らかく暖かい椅子なんかよりも心地好いだろうに。



「アンナ、羊羹」
「ありがと」
「あとお茶な」



甘い小倉羊羹だった。渋いお茶とよく合う。ふと新聞から視線を上げて、目に入ったのは葉の分の羊羹とお茶だった。私のより、少し小さな羊羹。



「葉」
「んー?」
「……何でもないわ」
「そっか」



この世の全てが嫌いだった。きっと生まれてから、ずっと。けれどあの笑う顔と、気の抜けた声と、真剣になった時の目と、温かい涙と、少しスケベなところと、私を守ってくれる彼だけは、きっと生まれてから決まっていたことであればいいと思う。



「葉……好きよ」
「え!?」
「何よ」
「あ、えと、オイラも、好き……です」





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こんな葉アンが好きです。








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