さらりと自分とは正反対の色の髪を撫でる。真っ黒のその髪は蛍光灯の光を反射して艶を出した。長い髪だ。ふと耳元にかかっていた髪を上げる。見えるのは生々しい傷。



「楽しいですか?」
「クク、まあな」



その傷を指でなぞる。小さくでこぼこした傷痕は何をしたのかをはっきりと伝えてくる。耳を切っただけで人は死なない。けれど普通のやつらは驚くだろうし、怖がるのだろう。次に左手に視線を向けた。耳と同じような傷痕が親指以外の指にはっきりとある。



「一本、二千万だったか」
「ああ、まあ」
「この指がなぁ」
「なんだよ」



お世辞にも綺麗とは言えない指だった。それに一本二千万、馬鹿みたいな金額だ。けれど、そんな賭けに付き合うコイツも馬鹿。嫌いじゃないけど、やはり馬鹿だと思う。



「ボロボロだな」
「悪いかよっ」
「そんないきり立つなよ……俺は好きだぜ」



顔の傷に指を滑らすと顔を真っ赤にして俺の手を掴んだ。今更恥ずかしいも何もないだろうに。ぐっと距離が縮むのを他人事のように思いながら掴まれた手を握り返した。








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