誰にだって独占欲はある。あれが欲しいこれが欲しい、無欲な人だって欲を持っているのだ。だから俺がこの人を欲しがるのだって、普通だ。



「赤木、さん」



手を握り名前を呼ぶ。皆この人の名前をどう思いながら口にするのだろう。崇めているのか、恐ろしいのか。それとも、俺と同じなのか。別にそれはそれで構わない。けれど、俺はただこの人が欲しいだけだ。



「てめぇも、物好きだな」
「赤木さんこそ、そうでしょ」
「……違いねぇ」



口づけて、体を抱いて。それでこの人を俺のものに出来るのならどれ程いいだろう。決してそんなことにはならないと知っていても、それでも願ってしまう程に俺はこの人が欲しい。子供がお菓子を欲しがるように、大人が金を欲しがるように。男が女を、女が男を欲しがるように。俺は、この人が欲しい。



「……カイジ、確かに俺はお前のことが好きだ。お前のことを考えれば胸は軋むように痛い。抱かれればこの世のものとは思えない程の幸福を感じる。それでもお前に俺をやることは出来ない」



残酷にもこの人はいつもそう言うのだ。きっと皆は神の言葉だと受け止めるのだろう。例えそうだったとしても俺はその言葉を受け止めきれない。赤木さんを抱きしめる。体も、心も全て欲しいのに。



「すまねぇな、カイジ。この体も、心も、全部俺のものなんだ」








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